このところ金の価格が上昇を続けています。投資家の間では非常時に備える意味もあり、裏付けのないドルや国債を手放し、金に乗り換える動きが顕著になってきました。そうした流れを受けて、あの安売りで知られる「コストコ」のアメリカ本店では金の延べ棒の販売を始め、大きな話題となっています。(「 浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』 浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』 」浜田和幸)
※本記事は有料メルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』2023年12月22日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。
プロフィール:浜田和幸(はまだ かずゆき)
国際政治経済学者。前参議院議員。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。『ヘッジファンド』『未来ビジネスを読む』等のベストセラー作家。総務大臣政務官、外務大臣政務官、2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会委員、米戦略国際問題研究所主任研究員、米議会調査局コンサルタントを歴任。日本では数少ないフューチャリスト(未来予測家)としても知られる。
ドルや国債を手放して金(ゴールド)に乗り換え?
このところ金の価格が上昇を続けています。
日本でも中国でも投資家の間では非常時に備える意味もあり、裏付けのないドルや国債を手放し、金に乗り換える動きが顕著になってきました。
コストコ米国本店「金の延べ棒」販売開始
そうした流れを受けて、あの「安売り」で知られる「コストコ」のアメリカ本店ではスイス製と南アフリカ製の金の延べ棒の販売を始め、大きな話題となっています。
24カラットの金の延べ棒が現在2,069ドル(1オンス)で販売中です。
コストコといえば、日本でも人気を集める日用品の大量販売店ですが、災害や緊急事態に備えて非常食の缶詰やドライフードが売れ筋となっています。
しかし、本場のアメリカでは景気の先行き不安に加えて、治安の悪化やドルへの信用失墜から、消費者が安全パイとしての「金」へ注目するようになったようです。
そこに注目したコストコは去る9月から金の通信販売を始めました。
すでに1億ドルを超える売り上げを記録。
中国がゴールドを買い漁っている
世界的にも金の需要は高まる一方で、中でも顕著なのは中国の投資家です。
また、中国の中央銀行はこれまでにないペースで金の購入と備蓄を進めています。
その背景には、中国が直面している経済的困窮が隠されている模様です。
アメリカの国債やドルを手放すことで、人民元の価値を高めようとする意図が隠されているに違いありません。
中国はアメリカとの通商貿易関係を拡大してきましたが、アメリカ政府が直面している財政赤字や予算問題に危機感を募らせはじめているわけです。
アメリカの2023年度の財政赤字は、1.7兆ドルを突破し、国家の負債は33.5兆ドルにも達しています。
これほど深刻な財政危機に陥っているアメリカのドルや赤字国債を買い支えるリスクは膨らむばかりでしょう。
中国の人民銀行は2002年から2019年の間に、1,448トンの金を確保したと公表。
恐らく実際には、それをはるかに上回る金を世界中から、特に最近はロシアから大量に調達している模様です。
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