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日経平均は2024年夏〜秋に大崩れ?「ユニクロ」ファストリ株をめぐる“思惑”に要警戒=おせちーず

実は1月末は、日本株投資の1つの節目でした。日経平均株価の「キャップ調整済株価換算係数」を判定するための基準日だったためで、「ユニクロ」ファストリ株が基準ウエートを超えるか・超えないかの攻防があったのです。今回は筆者の予想通りに超えませんでしたが、次の基準日「7月31日」こそ、日本株の乱高下に警戒が必要です。(『 おせちーずの「ここだけ」なお金の話 おせちーずの「ここだけ」なお金の話 』)

※本記事は有料メルマガ『おせちーずの「ここだけ」なお金の話』2024年1月30日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:おせちーず
MBA、CFP、1級FP技能士、日本証券アナリスト協会認定証券アナリスト、TOEIC950ポイント。システムエンジニア14年、証券アナリスト7年半、地方公務員5年半、フリーランス4ヶ月を経て、現在は中小企業の研究員。通算10年ほど外資系企業に勤務。某大学の非常勤講師、また投資系ライター稼業、お金関係セミナー講師としても活躍。趣味は旅(33歳で47都道府県踏破達成)、読書、株式関連投資(投資歴32年ぐらい)、花(生け花師範、フラワーデザイン勉強中)、借り物畑で野菜作り、サッカー観戦(雑食だけど川崎フロンターレサポ)、料理。がんサバイバーでもある。お金とキャリアと楽しい生き方について執筆活動を行っている。

「日本株の大事な節目」だった1月末

1月31日はあまり知られていないかもしれませんが、日本株投資の1つの節目です(※編注:原稿執筆時点1月30日)。

日経平均株価の「キャップ調整済株価換算係数」を判定するための、年に2回の基準日です。もう1回は7月31日です。

「キャップ調整済株価換算係数」は日経平均株価におけるウエートが一定の水準(「キャップ水準」)を超えた銘柄のウエートを一時的に引き下げるための値です。2022年の10月の定期見直しから導入されました。

キャップ水準は導入時が「12%」、2023年10月の定期見直しから「11%」、2024年10月以降の定期見直しでは「10%」です。つまり現在は11%です。

この11%に抵触するかしないかの水準にあるのが、ファースト・リテイリング<9983>(以下、ファストリ)。日経平均株価に占めるウエートが11%に迫る水準です(※編注:基準日のファストリ株のウエートは10.94%となり、キャップ水準を下回る結果となりました)。

1月31日の引け時点で11%を超えると、2023年4月の定期見直し(実際に資金が動くのは3月最終営業日)で、キャップ調整済株価換算係数適用銘柄となり、端的に言えばファストリのウエートが下がるので、ファストリは日経平均株価連動資金が売却する対象になります。

ファーストリテイリング<9983> 日足(SBI証券提供)

ファーストリテイリング<9983> 日足(SBI証券提供)

ファストリ株のウエートをめぐる攻防があった?

このウエートは日経平均株価を構成する225銘柄ぜんぶで決まるので、ファストリの株価が下がれば、ファストリのウエートも下がる…という単純な構造ではありません。ファストリ以外の銘柄も株価が下がれば、ファストリのウェートは変化しなかったり、下落率の差でファストリのウエートが上昇することもあります。

ファストリは、日経平均株価に占めるウエートが大きいので、ファストリの株価が下落すると日本を代表する株価指数が下落することが多いです。以前にも筆者が書いていますが、日経平均株価とファストリの株価は似たような動きをする傾向があります。

※参考:日経平均株価の採用銘柄、どこまで知ってる? – 日興フロッギー(2024年1月10日配信)

というわけで、ファストリの株価を下げさせたくないと考える投資家(多分多額の資金を扱っている人)がいるかもしれません。

そのような人たちが、ファストリをキャップ調整済株価換算係数対象にしないためにできることは、ファストリ以外の日経平均株価採用銘柄のウエートを高めることで、ファストリのウエートを上昇させないことです。

新年に入って東京エレクトロン<8035>やアドバンテスト<6857>の株価が上昇している理由の1つは、半導体関連銘柄の買いだと想像されますが、もう1つの理由が日経平均株価におけるファストリ対応ではないかと考えられます。

なぜなら東京エレクトロンやアドバンテストは、ファストリに次いでウエートが高い代表的銘柄だからです。

警戒すべきは7月末

本日(1月30日)引け時点で、日経平均株価に占めるファストリのウエートは10.92%です。筆者は、明日(1月31日)ファストリの日経平均株価に占めるウエートが11%を超えずに引けると思っています(※編注:原稿執筆時点1月30日。翌1月31日のファストリのウエートは10.94%となり、キャップ水準を下回っています)。

むしろ、視野を7月末に向けています。

2024年10月から、キャップ調整済株価換算係数の基準ウエートが10%になります。その判定日が2024年7月末です。

ファストリがキャップ調整済株価換算係数の対象になれば、売られる。一方、それを避けようとすると、ウエートを下げるために7月末にかけてファストリが売られるか、他の銘柄が買われる。

こんなシナリオを想定しています。

だとすれば、夏にかけて、あるいは夏から秋にかけて、ファストリは業績に関係なく売られる対象になるかもしれない、と考えます。

ファストリの株価が下がれば、日経平均株価は下落する傾向があるとするならば、夏にかけて、あるいは夏から秋にかけて、日経平均株価は軟調になるのでは?と想定します。

売られる銘柄があるなら、買われる銘柄がある

仮にファストリがキャップ調整済株価換算係数の対象になるとすると、日経平均株価におけるファストリのウエートが下がることになるので、下がる分だけ、他の銘柄のウエートが上昇することになります。

つまり、リバランス時に買われる銘柄もあるということです。

ただし、リバランス時に買われるので、リバランス時の他の銘柄の株価が今と比較してどうなっているかはわかりませんから、いま買えばリターンを取れるか?と言われれば、必ずしもYesではないことは、念頭に置いて欲しいです。

ちなみに筆者は、2022年10月に日経平均株価算出要領が改訂され、キャップ調整済株価換算係数の概念が入った時点で、ファストリ株を当面は触らないと決めました。

現時点では、持っていればリターンが出たはずなので、機会損失だったかもしれません。しかし、当時は100株買うのに1,000万円程度必要でしたし、分割されても300万円程度必要な銘柄だったので、ファストリ株は手を出しにくかったのです。

現在(2024年)でも、日経平均株価のウエートを左右しそうという問題で、やっぱりファストリは手を出しにくい銘柄です。


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image by:HJBC / Shutterstock.com

おせちーずの「ここだけ」なお金の話 おせちーずの「ここだけ」なお金の話 』(2024年1月30日号)より一部抜粋
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