fbpx

パウエル議会証言「利下げリスク」アピールに要警戒。株高を牽引する半導体銘柄の行く末は?=脇田栄一

今週、パウエルの議会証言が下院・上院(6日・7日)とあります。これの実質的な内容は決まっている。「利下げリスク」をアピールすることだろう。(脇田栄一)

プロフィール:脇田栄一(わきた えいいち)
FRBウォッチャー、レポートストラテジスト。1973年生、福岡県出身。個人投資家を経て東京都内の大手株式ファンドでトレードを指南。本来は企業業績を中心とした分析を行っていたが、08年のリーマンショックを経験し、マクロ経済、先進国中央銀行の金融政策の影響力を痛感。その後、FRBやECBの金融政策を先読み・分析し、マーケット情報をレポートで提供するといった業態を確立。2011年にeリサーチ&コンサルティング(現eリサーチ&インベストメント)を起業。顧客は機関、個人投資家、輸出入企業と幅広い。ブログ:ニューノーマルの理(ことわり)

注目が集まるパウエル議会証言

今週、パウエルの議会証言が下院・上院(6日・7日)とあります。これの実質的な内容は決まっている。

金融政策に踏み込むのであれば、市場期待の早すぎる利下げは再度の高インフレ吹き上がりのリスクがある……といった認識を表現はどうであれ発信するはず。つまり「利下げリスク」をアピールすることだろう。

昨年からしつこく言っているが、高金利継続の可能性は高いということ。メディアは切り取りして使い勝手の良い報道をするかもしれないが、結論としてはこんなところ。

「利下げあるある詐欺」のような同調圧力に乗せられて、すでに損失を被っている一般投資家の話は昨年来ウンザリするほど聞いている。

※参考:「FRBとコアPCEインフレの長い戦い」がはじまる | ニューノーマルの理(2024年6月30日配信)

で、実際に議長が「早期利下げのリスク」について議会証言したとして、急な坂道を上り続けてきたハイテクにどのような影響をもたらすかはわからない。

その理由としては、エヌビディアがマクロ(ここでは高金利)に反発するように相場をリードしてきたからである。

エヌビディア(NVDA)の予想PERについて

そんな中、エヌビディアの25年1月通期決算について触れる媒体はほぼ無かった。4Q(23年11月‐24年1月)の結果のみが報道されていましたね。

現在、エヌビディアの株価を予想PER30倍〜40倍程度としている媒体は、特定の媒体による独自EPSを根拠としていることがわかる。エヌビディア自体は1Qまでしかアウトルックを出していない。

「エヌビディアの4QEPSは4.92だった。25年1月期1QEPSに関してはアナウンスが出ているので、5ドルに乗るだろう」と。たとえば、手堅く5.25(1Q)として、定規で測ったように2Q5.50、3Q5.75、4Q6.00……なんてするでしょう?

25年の四半期EPSを6ドルに向かって緩やかに上昇させ、それを加算すれば(5.25+5.50+5.75+6.00)、25年1月期の通期予想EPSは22.5になるわけです。国内証券を含むどの媒体も、だいたいこのような形で25年1月期通期予想は「22.5‐25」とかでしょう?

その調子(22.5)で2月28日終値776.63を測ると予想PERは34.5倍になるわけで、そういう簡素な感じで公表している(※編注:原稿執筆時点2月29日)。実際にはだいぶ違うと思うのだが、外部からすればそのような見通ししかできない。

しかし相場はそれで動く。 確実にいえるのは、すでに発表された24年1月期の11.93という事実のみ知り得ることができる。

※参考:エヌビディア、通期決算クイックレポ | ニューノーマルの理(2024年2月22日配信)

つまり、その事実をもって予想(発表)されている成長性をどう捉えるかは人それぞれ。そもそも業界平均PERというのは、自身の中の印象で割安か否かが決まってしまう。成長産業であれば30倍、成熟産業は10‐15倍(で割安)…といった具合である。逆にそれらの数値でも「割高」と感じる人もいる。

当然ここでは、BSやCFを除いている。それらを加えれば数値の印象もずいぶん違ってくるわけだが、これについてもまたいずれ解説する。

image by:Domenico Fornas / Shutterstock.com

本記事は脇田栄一氏のブログ「ニューノーマルの理(ことわり)」からの提供記事です。
※タイトル・リード・見出しはMONEY VOICE編集部による

いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー