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高校に“1人1台”配備の中華タブレット、3年もたず半数超が故障。金をかけるべきところをケチって結果大損の徳島県は「マチ★アソビ」でも同じ轍を踏む?

徳島県の県立高校などに「1人1台」配備されたタブレット端末を巡り、その半数を超える数が故障するという異例の事態となっているという報道が、大きな波紋を呼んでいるようだ。

タブレット端末は2020年度に徳島県教育委員会が1万6,500台を調達し、21年4月から使用を開始。ところが昨年7月ごろになると、厳しい暑さが原因とみられるバッテリーの膨張が、各校で続出していることが発覚。教育委員会が実態把握に手間取っているうちに、故障台数はどんどんと増えていき、同年11月下旬時点で6,301台にのぼったという。

さらに今年1月下旬には、充電後にバッテリーが1時間未満しかもたない新たなトラブルの報告も。県には約850台の予備機の準備があったようだが、続々と故障機が増え続ける状況にあって到底間に合わず、1台の端末を複数の生徒で共有するなどしてしのいでいたという。

徳島県教育委員会が調達したタブレット端末は、中国のツーウェイ社の「UBOOK」という機種。国の交付金を活用して約8億円をかけて購入したということで、1台当たりの価格は4万8,950円だったという。ちなみに、問題のタブレット端末を調達した代理店によれば、昨年秋の段階で故障を巡る問題をツーウェイ社側に伝えたものの、現在も返答はないという。

教育長は事実上の“引責辞任”へ

昨年来より、その異常事態が大いに取沙汰されていた徳島県のタブレット故障多発問題だが、今回その背景が詳らかとなったことで、改めて注目を集めることに。

先述の通り、バッテリー膨張が続出するようになったのは昨年7月のことだということだが、そもそもそれ以前の2021年5月の段階で、とある学校に配布されていたタブレット端末が、焼け焦げたような状態で見つかるといった出来事があったという。

しかしその際に教育委員会は、消費者安全法に基づく消費者庁への通知義務を怠っていたとのこと。故障台数の全体把握に約4か月も掛かってしまったことも含め、やはり教育委員会の対応が後手後手に回った感は否めないところである。

ちなみに批判が集中する格好となっていた教育委員会だが、そのトップである教育長は今月8日に辞表を提出したといい、任期を3年ほど残して事実上の“引責辞任”という格好となったようだ。

いっぽうで、故障続発時の対応以前の問題として、そもそも教育委員会がその安価ぶりに目がくらんだのか、中国製のタブレットを選んでしまったことが、諸悪の根源であるといった見方も多数。

これに関しては、今回明らかになったタブレット調達の経緯によると、教育委員会が行った入札に応じたのが、地元の総合設備企業である四電工1社だけだったのにくわえ、その四電工が複数の代理店に調達を依頼したものの、想定する仕入れ価格に見合うのがツーウェイ社の製品のみだったということ。

予算がかなり抑えられたなかでの調達だったことが窺える上記の状況なのだが、その結果として3年も経たないうちに半数以上が故障で使い物にならなくなる事態となり、そのうえ、中国メーカー側からは故障時のサポートも全く受けられていない状況ということで、まさに“安物買いの銭失い”を地で行く展開となってしまったようだ。

前知事時代の負の遺産との声も…

徳島県といえば、昨年4月に行われた知事選挙において、それまで5期に渡って知事を務めた飯泉嘉門氏を、前衆議院議員の後藤田正純氏が破り、実に20年ぶりの知事交代に。

それ以来、いわゆる“前知事の負の遺産”といった話が、事あるごとに取沙汰されているところで、今回のタブレットの件も、前知事時代の2020年度に調達されたものだということもあり、特に同県下においては、そういった意味合いで波紋が広がっているといった一面もあるようだ。

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だがそのいっぽうで、そんな知事交代による余波のひとつとして、最近大いに波紋を呼んでいるのが、県下で開催されているアニメとゲームの総合イベント「マチ★アソビ」の今後。

街中を著名なクリエイターや声優、コスプレイヤーなどが闊歩し、撮影会やトークショーなどのイベントや出展物、さらに県内名産品を楽しむといった、独特な魅力を持つ同イベントなのだが、2018年には8万4000人が来場し、その経済効果は約7億3,000万円に及んだとされるなど、地域経済の活性化にも大いに寄与してきた。

しかし後藤田知事は今年2月、それまで同イベントに県の予算から毎年8,000万円を支出していたのを、他のイベントと比べて高いと問題視。県の事業負担額の大幅な縮小を示唆し、今後はクラウドファンディングを活用するなど民間中心で実施して欲しいと、その開催方法を見直すことを表明。これにより、直近に開催予定だった今春の「マチ★アソビ」の開催は不透明となるなど、今後の存続が心配される事態となっているのだ。

2009年にスタートした「マチ★アソビ」は、いわゆる前知事の功績のひとつとされているだけに、現知事はその存在をあまり快く思っていないのでは……といった見方も大いにされているこの一件。とはいえこの混乱の末に同イベントの規模が縮小、あるいは最悪のケースとして開催が途絶えてしまうといった事態になれば、それまで享受していた経済効果も消えて無くなる可能性も無きにしも非ずといったところ。

金をかけるべきところを惜しみ、その結果“安物買いの銭失い”になるという流れは、トップが変わろうとも受け継がれていく、いわば徳島県伝統のムーブといえそうである。

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