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株価低迷…米ファイザーは買いの好機か?年間2000万人が新たにがんになってしまう世の中で注目に値する企業だ=鈴木傾城

最近になってがん治療薬の分野で大きな賭けに出て注目されているのがファイザーだ。2023年3月4日、ファイザーはがん治療薬を強みとする製薬企業シージェンを約430億ドルで買収した。シージェンは副作用の少ないがん治療薬の開発・研究をリードしている企業であった。(『 鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編 鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編 』鈴木傾城)

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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。

世界全体では約2,000万人が新たにがんに罹患する

毎年、世界全体では約2,000万人が新たにがんに罹患する。そして、960万人が、がんで死亡する。日本でも、2019年の統計を見ると99万9,075万人が新規にがんになっている。そして約33万人が、がんで亡くなっている。

私の父親も数年前にステージ4のがんであると診断されて「余命1年」といわれたので私も覚悟と準備をしていたのだが、驚くべきことに3年たった今もまだ生き延びている。

心臓にはカテーテルが入り、腸も肺も手術で切り刻んで、全身ボロボロになっているのだが、かなりしぶとく生き延びて、本人は「まだ死なない」とニヤリと笑っている。とはいってもかなり衰弱しており、もはやかつての面影はない。

世界全体でがん患者が増えているのだが、その理由についてはいくつもある。もっとも大きいのは高齢化社会の進展だ。

高齢化すればするほど、がんを発症するリスクが高くなるのだが、日本も含めて世界中で平均寿命が延びているので、高齢者人口が増加し、それに伴いがん患者数も増加している。

また、現代社会は過度な飲酒、運動不足、不健康な食生活などの悪い生活習慣を生み出しやすく、また高度情報化社会の中で複雑化した社会でのストレスも非常に大きい。これらの生活習慣やストレスが、がん患者数の増加につかがっているとも考えられている。

また、一部のがんはウイルスや細菌などの感染症によって引き起こされる。たとえば、子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)感染症、肝がんはB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルス感染症によって引き起こされることがわかっている。

ウイルスや細菌などの感染症は、グローバル化した社会の中でリスクは高まり続けるのはわかっているので、これが原因のがんも増えていくことになるのだろう。

がんの治療薬は非常に重要な分野

がん患者は増え続け、年間2,000万人が新たにがんになってしまうのだから、がんの治療薬は非常に重要な分野であるといえる。

現在は、新しい治療法は高価な場合が多く、治療法によっては重篤な副作用が現れることがあって、まだまだ課題は多い。

しかし、巨大製薬企業からバイオ企業、あるいは大学の研究でも、がんの治療については大きな研究費が割かれて創薬にしのぎを削っている。しかし、すべてのがん患者に有効な治療法はまだ存在していない。

たしかにがん治療薬の開発は近年目覚ましい進歩を遂げて、従来の化学療法に加え、分子標的薬、免疫療法、細胞療法など、さまざまな治療法が登場しているのだが、がんの撲滅についてはまだ道なかばというところだ。

今後は、AI(人工知能)を駆使してより効果的な創薬の開発が進みそうだが、最近、興味深いと思ったのは、巨大製薬企業のファイザーがAI企業パランティアのAIシステムを使って創薬を開始するというニュースだった。

Next: 多くの企業ががん治療に参入…ファイザーは「次」を見据えている?

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