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米国株の堅調地合いもここまでか? やはり上がらない日本株とドル円=江守哲

コモディティ市場~金は堅調、原油に異変の可能性も

は高値を維持しました。米雇用統計を背景に米利上げ観測が後退したため、金は下げにくくなっています。

金利が付かない金は、金利が上昇傾向のときにはかなり弱くなりますが、いまは金利が低下傾向にあります。このように、金利が付く・付かないではなく、金利が相対的に低下傾向かが重要です。低下傾向であれば、それだけで金に有利に作用します。

ここ最近は、再び投資マネーが金上場投資信託(ETF)に流れ始めています。投資家のリスク回避姿勢が強まっているようです。米国株は堅調ですが、疑心暗鬼の投資家が少なくないということでしょう。

金は長期的なテーマです。ドル安トレンドにある中、もっとも注目すべき投資対象のひとつであることを忘れないようにしたいものです。

一方、原油は50ドルを超えが話題になりました。一時は26ドルまで下げましたので、約2倍になったわけです。コモディティ市場では、先物市場での証拠金取引ですので、2倍になったという言い方はしないのですが、価格自体は確かに2倍ですね。

さて、その原油ですが、このままどんどん上昇していくかというと、少し疑問も出てきました。その原因が、米国のシェールオイルの増産の可能性です。

最近になって、石油掘削リグ稼働数が再び増加し始めています。これは、もしかすると、原油価格が反発し、50ドルを回復したので、遊休となっていた施設が再び動き出したのではないかと考えられるわけです。

そうなると、これまで原油価格の上昇要因だった、米国内の産油量の減少が止まり、価格は頭打ちになる可能性があります。実際、直近の米国の産油量は増加しています。こうなると、市場心理が悪化する可能性があります。

そうなれば、十分に買い建ててあるポジションの整理が始まる可能性があります。現時点でそうなると、これは痛手です。ポジション調整が下げを加速させるリスクがあります。

また、期待されていたガソリン在庫の減少傾向の継続も、むしろ増加に転じています。ガソリン需要の減少が要因のようですが、この傾向が続いてしまうと、始まったばかりのガソリン需要期の相場に水を差すことになります。

また、価格も安い水準にあります。ヒーティングオイルとの値差は非常に小さい状態にあり、これはガソリン需要期としては異例ともいえるかもしれません。このままガソリン相場が上昇しないようだと、原油相場の重石になってしまいます。

この点からも、原油相場だけでなく、NYMEX市場に上場されているガソリン先物の価格動向にもぜひ注目するようにしてください。

これまで順調に上昇してきた原油相場にいったん調整が入る可能性が高まっています。もしかすると、すでにその兆候が見られ始めているのかもしれません。

ここからの値動きには要注意といえそうです。

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株式・為替・コモディティなどの独自の市場分析を踏まえ、常識・定説とは異なる投資戦略の考え方を読者と共有したいと思います。グローバル投資家やヘッジファンドの投資戦略の構築プロセスなどについてもお話します。さらに商社出身でコモディティの現物取引にも従事していた経験や、幅広い人脈から、面白いネタや裏話もご披露します。またマーケット関連だけでなく、野球を中心にスポーツネタやマーケットと野球・スポーツの共通性などについても触れてみたいと思います。

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