第47代アメリカ大統領にドナルド・トランプ氏が選出され、市場では「トランプトレード」が注目を集めています。株価上昇や米ドル高が見られる一方、マスク氏が率いるテスラ株も大幅に値上がり。今後の経済政策や環境問題への影響が多くの憶測を呼ぶなか、市場関係者はその動向に注視しています。(『 徒然なる古今東西 徒然なる古今東西 』高梨彰)
プロフィール:高梨彰(たかなし あきら)
日本証券アナリスト協会検定会員。埼玉県立浦和高校・慶応義塾大学経済学部卒業。証券・銀行にて、米国債をはじめ債券・為替トレーディングに従事。投資顧問会社では、ファンドマネージャーとして外債を中心に年金・投信運用を担当。現在は大手銀行グループにて、チーフストラテジスト、ALMにおける経済・金融市場見通し並びに運用戦略立案を担当。講演・セミナー講師多数。
盛り上がる「トランプトレード」
第47代米大統領ドナルド・トランプ誕生です。
「トランプトレード」により、株高・債券安(金利上昇)・米ドル高。
NYダウは3%超値上がりして、43,729.93ドル。
米10年債利回りは16bp(0.16%)上昇、4.43%。(債券価格では約1.3%値下がりしています)
そして、トランプ候補を全面的に後押ししていたイーロン・マスク。彼がCEOの電気自動車メーカー、テスラ株は14%高。
マスク氏といえば、選挙中にトランプ「次期大統領」が、「(マスク氏に)政府支出削減を指揮する正式な役割を与えることを検討」しているとも伝えられています。
単なる電気自動車のみならず、自動運転車の承認などにも影響するかも。
また、原油価格は軟調。トランプといえば、原油増産、発電所の増加を主張してきた人。原油供給増加への連想が働きます。
反対に環境に対しては無頓着の印象もあって。石油・天然ガス業界には良いのでしょうけど。「地球に優しい」分野を推して来た向きにはどうなのかしらとも。
加えて、トランプの経済政策といえば「関税」。中国やメキシコ(からの自動車)をはじめ、輸入品に追加関税を課す、と。
「トランプトレード」はすぐに終わる?
その連想からすれば、昨日は意外な動きも。メキシコの通貨ペソです。
トランプ勝利の一報にメキシコペソは数%下落。しかし、NY時間の終わりにかけて、メキシコペソは値を戻す展開。
これも「トランプトレード」の1つと考えると、「トランプトレード」そのものは、「sell the fact(結果で売る)」の格言よろしく、程なく終焉に向かうのかも。
と、つらつら綴って来たものの、トランプには未知数な部分が多過ぎて。なんせ、「第45代米大統領ドナルド・トランプ」の不規則発言、不意な行動には何度も悩まされました。
マスク氏との関係ひとつ取ってみても、両者とも「何考えているんだか分からない」。人もアルゴリズム(機械のプログラム)も振らされる相場が復活です。
改めて相場全体の値動きを観直すと、「オプション売りの人たちが損切りしているみたい」「トランプトレード」を分かっちゃいるけど。「ガンマショート(詳細省略します、すみません)」の解消が追いつかず。株買い・債券売りがさらに進んだ。
そんな風にも。
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