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乱高下ビットコイン…米国株の神・中島聡が指摘してきた「仮想通貨」の危うさ

ビットコインが過去最高値を更新しながらも、10万ドル目前で急落し、暗号資産全体が価格調整の局面を迎えている。そんな中、前トランプ政権時代から仮想通貨の可能性をいち早く指摘してきた中島聡氏が、昨今の加熱する仮想通貨ブームをどう見ているのか注目されています。2014年にNVIDIA株を購入し、その卓越した先見性で投資家から高く評価される中島氏は、「米国株を買うなら中島聡のメルマガを見ろ」と言われるほどの影響力を持つ人物。そんな彼が、最近の仮想通貨市場について語ったメルマガや読者からの質問への回答を一部抜粋し、お届けします。ちなみに中島聡氏は名前が「satoshi nakamoto」と似ていることからビットコインの発明者ではないかと疑われることが多く本人はその説を否定しています。
2017年の参考記事:高騰するビットコイン…開発者に疑われた中島聡がその成り立ちを解説

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【関連記事】中島聡ってなにもの?
NVIDIAの急成長を10年前に予見…米国株の神・中島聡を真似するだけの投資戦略

中島聡氏の息子が関与したミームコインが高騰

11/19号より抜粋

Pippinというミームコイン
先週の火曜日に、ベンチャー・キャピタルをしている長男(洋平)から、「Pippinというミームコインが誕生したからチェックして欲しい」という連絡が来ました。「ミームコイン」については、「DOGEコインに代表される、深い意味もなく、たまたま多くの人の話題の対象になってしまったため価値が上がってしまった仮想通貨」ぐらいの漠然としたイメージしか持っていなかったので、少し驚きでした。

Pippinは以下の経緯で生まれたようです。

1.洋平がGPT4にSVG(ベクターデータ)でユニコーンを描かせる実験をX上でスタート
2.SVGという制限付きなためか、不思議な(前衛的な)画像が複数作られ、それが注目を集める
3.複数作った中で、洋平が気に入ったキャラクターを選ぶ(下の画像)
4.彼のフォロワーの一人がそのキャラの名前を尋ねる
5.洋平がGPT4に尋ね、名前が”Pippin”に決まる
6.Pippinを素材とした複数のミームコインがSolanaブロックチェーン上に作られる
7.自分が作ったミームコインを「公式」と認めて欲しい人が、洋平にSolana上の通貨を送りつける
8.洋平が、複数あるミームコインの中で最も市場価格の総額の高いものを選んで購入
9.そのミームコインが「公式」と認められて価格が高騰

この記事を書いている時点で、

過去24時間の取引量: $6.37M
市場価格の総額: $59.37M
取引されている交換所: 7箇所
と誕生してから3日しか経っていない割には、とても良い盛り上がり方をしています。

ミームコインを作ることは誰でも出来ますが、それに価値を見出すコミュニティが作られなければ市場は生まれないため、作られたミームコインのほとんどは、誰にも注目されずに消えてしまいます。それらと比べると、Pippinは、ベンチャー・キャピタルでありながら、(BabyAGIとPixelBeastのおかげで)AIと暗号通貨のコミュニティの両方のフォロワーの多い洋平が、(お金儲けのためではなく)偶発的に作ったところが良かったのだと思います。

量子コンピュータはビットコインを終わらせるのか?

11/12号より抜粋

【質問】
質問はビットコインについてです。私はビットコインを10年ほど保有しておりこのまましばらくは保有する方針ですが、量子コンピューターが実現すればビットコインの暗号技術が破られるという見解もあり、どこかで利益確定をしなければと考えております。最近のメルマガで中島さんは量子コンピュータは実現不可能ではないが、そこまですぐに実現するものではないという見解だったかと思います。そこで質問ですが、量子コンピュータが実現した場合、ビットコインはなすすべなく無価値なものになってしまうのでしょうか。それまでにビットコイン側でも何かしらの耐性や対策を実装する可能性はゼロなのでしょうか?中島さんの見解を教えてもらえると幸いです。

《回答》
正確には「量子コンピュータにより、暗号通貨に使われている暗号技術が破られるようになったら」ですが、その時には、確かにビットコイン・エコノミーそのものが崩壊します。しかし、その時には、インターネットで使われているセキュリティの仕組みもことごとく壊れてしまうので、崩壊するのはビットコイン・エコノミーだけではなく、世の中は大混乱に陥ると思います。

しかし、量子コンピュータの技術をそこまで進歩させるのは簡単ではない上、そこに至る筋道すら明確に描けていないため、現時点でその心配をしても仕方がない、と私は考えています。

ブロックチェーン技術の活用法

11/5号より抜粋

【質問】
最近の中島さんは、Web3、ブロックチェーン技術が活用できる可能性はビットコインくらいで、あとはポンジスキーム的なものにしか使えないという見解をお持ちですが、不動産取引への活用の可能性はないのでしょうか。

自分で自宅や親の家の売買を何度かやってみて、なんと前時代的でアナログで手間がかかるしとても危なっかしいものだと感じました。これでは地面師詐欺的なものが起こるのも当然だと思います。

大きな金額が動くものなので今のままでいいわけはなく、ブロックチェーンはぴったりだと思っていたのですが、ほかにもっとましな改善方法がありそうでしょうか。

《回答》
ブロックチェーンの技術は、政府とは相性が良いとは思っています。特に、議事録を残す、税金の使い道を明確にするなど、権力を持つ人たちを国民の監視下に置くにはとても良い技術です。

ブロックチェーンを不動産の登記簿として使うのも悪くないと思います。政府が管理するデータベースでも十分とも言えますが、普通の技術を使うと、技術が陳腐化したり、ベンダーロックインが起こりやすいのが難点です。時代を超えて記録を残すには、ブロックチェーンはとても良いツールと言えます。

とは言え、ブロックチェーンを使ったビジネスをやろうとすると、どうしても「新しい通貨を発行し、初期の段階で支持してくれた人に先行者利益を与え…」と、どうしてもポンジー・スキームになってしまいます。これは、Web3の「宿命」だと私は考えています。

Web1とWeb2は性欲、Web3は金欲

10/29号より抜粋

【質問】
私は仮想通貨の投資を検討しています。ですが、書籍で勉強しようとしても、最新情報でないうえに、ビットコインに関する情報が中心で、その他コインについては軽く触れられている程度です。正直、半年前の情報でも古いと感じてしまいます。そこでいくつか伺いたいことがあります。

質問1.最新の仮想通貨に関する情報を収集される際はどうされていますか?おすすめのサイトや発信者などがいれば教えて頂きたいです。

質問2.ビットコイン、イーサリアム、Solanaなどの技術面での独自性や、それぞれの将来性についてどのようにお考えですか?

質問3.最終的には一つの仮想通貨に収束すると思われますか?それとも法定通貨との共存は難しいでしょうか?

《回答》
私は、現時点では特に暗号通貨に関する情報を積極的には集めていません。そのため「暗号通貨の最近の状況」を捉えているとは言い難い状況です。

しかし、暗号通貨に関わる勉強や開発を1年半ほどした結果たどり着いた、「Web1とWeb2は性欲、Web3は金欲」という見解は変わっていません。

別の言い方をすれば、「Web3でビジネスをするには、人の『楽して儲けよう』とする欲望につけ込んで、インフルエンサーに先行者利益を与えて彼らに宣伝させる、実質的なポンジー・スキームを展開するしかない」のがWeb3であり、それ以外のまともなビジネスモデルを作った人は誰もいない、というのが私の見解です。

そんな中で、唯一ビットコインが、発行され過ぎた法定通貨のリスクにヘッジする金融資産としての役割を果たす可能性は否定できない(ただし、最近は金に負けている)と考えています。

「お金に色はない」はブロックチェーンで覆される?

10/22
【質問】
ふと疑問に思った事を質問させて頂きます。

昔から、「お金に色は無い」と言いますが、ブロックチェーン技術でコインに色は付けられないものでしょうか?

戦争や犯罪に使われた黒いお金を受け取る側も選べるように出来たら、社会が少し良くなる気もしたのですが、出来ないものなのでしょうか?

またコインの色によって金利が変わったら、それも面白いなと妄想しています。

変な事だとは思い恥ずかしさも感じますが、自分の中で聞いてみたい!と思い質問をさせて頂きました。

《回答》
技術的には可能です。Ethereum上であれば、スマートコントラクトという仕組みを使って、自分独自の通貨を発行することも可能なので、その際に「世界初の色付きの通貨」としてローンチするのも面白いと思います。

ちなみに、BitcoinやEtherium上の通常の通貨の場合、トランザクションのすべて(どのウォレットからどのウォレットにいくら転送されたか)がブロックチェーン上に刻まれるとは言え、一度ウォレットに入ってしまえば「総数」でしか管理しないため、そこで「色が混ざって」しまいます。

この問題を解決するためには、すべての通貨に、明示的に色を付けるだけでなく、自分のウォレットから通貨を取り出す際にも、「どの色の通貨を使うのか」を明確に指定する必要が生じ、その分、使い勝手(UX)も悪くなるし、ブロックチェーンに書き込むデータも増えて、結果的に「ガス代(書き込むデータ量に応じて支払う手数料)」が増えてしまいます。

上手に設計しないと、これらの問題(特にガス代)のために、うまく機能しない可能性も十分にあるので、注意が必要です。

Web3業界の限界

9/27

【質問】
Web3の文脈で、なぜブロックチェーンが革新をもたらしているのか講演などを見ていつも腑に落ちないのが、なぜそれがブロックチェーンでないといけないのか理解できません。通貨としてのビットコインは直感的に価値を認識できるのですが、中島様はWeb3についてどのようにお考えでしょうか?

《回答》
私は、1年半ほどWeb3にどっぷりと浸かっていましたが、その結果、辿り着いたのは、

Web1、Web2は性欲、Web3は金欲
と言う事実です。Web1はAV画像、Web2は出会い系が、一般社会への普及に大きな役割を果たしましたが、Web3の普及を促しているのは、「楽して儲けたい」と言う人間の欲望です。

Web3上に作られた、Play2EarnやDeFiなどの様々なビジネスは、その観点から見ると、スッキリと理解できるようになります。

Web3の特徴は、インフルエンサーたちが、新しいアプリやサービスのプロモーションに協力しますが、それは全て先行者利益を得ようという「欲」から来るものであり、その辺りの設計がよく出来たものが成功するように出来ています。

ブロックチェーンに関する講演などを見て感じる違和感は、まさにここにあります。Web3業界においては、(Web3の設計上)全てがポジション・トークになってしまうため、外から見たら、信用の出来ない、違和感だらけの発言に見えてしまうのです。

Satoshi Nakamotoが発明した分散台帳を可能にする仕組みは、コンピュータ・サイエンスの観点からも、経済学の観点から見ても画期的で、ノーベル経済学賞を取って然るべき画期的な発明です。しかし、私自身がそれを活用してビジネスを立ち上げる気になれないのは、結局は、「楽して儲けたい」という人間の弱さに付け込んだビジネスしか作ることが出来ないからです。

誰かがそこに風穴を開けてくれる(=金欲に付け込まないWeb3ビジネスを作る)可能性はゼロではありませんが、今の所、その気配もありません。今の状況が続く限りは、Web3が広く一般の人に普及することはないと思います。

ビットコインを資産とする企業について

【質問】
ところで、ビットコインを資産とする企業が少しずつ増加(とはいえ現状はまだ極少数)していますが、下記2社の本業についての中島さんの評価を教えてください。

マイクロストラテジー
Semler Scientific
《回答》
Semler Scientificのことは良く知りませんが、Micro Strategyのことは良く知っており、一時は、ビットコインの代わりに株を持っていました。私の知る限り、Micro Strategyは本業で儲けることはあきらめて、ビットコインのETFのような役割を果たそうとしていたのだと思います。ビットコインETFも許可されたので、もはや存在意義はあまりないと思います。

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中島聡氏のメルマガは、読者が直接質問できる「質問コーナー」が人気で、まるで彼の頭の中をのぞくような感覚を味わえます。質問コーナー以外にも、中島氏の近況報告や最新AI技術の専門的な解説、彼が注目した記事への考察など、多彩な内容が満載。月額880円で2万文字以上の濃密な情報が読めるうえ、初月は無料。月の途中からの購読でも全ての号が届くので、まずは気軽に試してみてはいかがでしょうか。

以下では中島聡氏のことをよく知らない方のために、彼がどのような人物なのかを改めて簡単に紹介します。

米マイクロソフトでWindows 95、Internet Explorerなどを開発

中島聡さんは、日本で初めて米国マイクロソフトに転籍した天才エンジニアとして知られ、「Windows 95の父」とも称されています。1985年に早稲田大学大学院を卒業しNTTに入社するもすぐにマイクロソフト日本法人に転職。その後1989年に米マイクロソフトに移り、Windows 95やInternet Explorerの開発に携わり、「ドラッグ&ドロップ」や「右クリック」機能の実装を手掛けています。中島さんは、その後もマイクロソフトで重要な役割を果たし、技術の進化に大きな影響を与えています。

新NISA民にも人気、伸びそうなベンチャー企業を見極める先見の明

今後成長しそうなベンチャー企業の分析にも定評があり、ここ最近は「米国株を買うなら中島聡のポートフォリオを真似すればいい」「投資家たちはまず中島聡のメルマガを読め」とまで言われ、米国株戦略を参考したい投資家や、今年になって投資をはじめた新NISA民からの登録が激増しています。

中島聡 伝説1:2014年にNVIDIA株購入

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今年時価総額が3兆円ドルを超え、米マイクロソフトや米アップルを抜いて世界首位に躍り出たNVIDIA株を2014年時点で購入している(分割前、1ドル以下)。その後NVIDIAの株価は200倍に。彼の注目する株の銘柄には、先見の明があり、同じ個別株を保有するだけで稼げるとまで言われるほど。

中島聡 伝説2:2016年にテスラ株購入

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彼は2016年にテスラのモデルXを購入した際、その金額と同額のテスラ株を購入し、現在も保有しています。テスラはその後、2020年には株価20倍、時価総額でトヨタを超えたと話題になりました。

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なぜ大半の投資家は、今までテスラ株を買おうともしなかったのか

中島聡 伝説3:2019年にZOOM株購入

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コロナ禍で脚光を浴びることになった「Zoom」を提供するZoomビデオコミュニケーションズの将来性を早い段階から見抜き、いち早く投資。

【関連記事】
話題の「NFT」投資にいち早く乗っかるべきか?Window95の父・中島聡氏の警告と未来予測

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※この分析に用いているチャートプラットフォームはTradingViewの提供です。
※ビットコイン及び仮想通貨に関するすべての記述は、あくまでもメルマガ内の意見および見解を示したものであり、特定の仮想通貨の購入、売却または保有を推奨するものではありません。

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