電動キックボードの大手シェアリング事業者「Luup」の社長が、とあるメディアの取材に対して行った発言が、大いに波紋を呼んでいるようだ。
渦中の記事によれば、電動キックボード利用者による交通違反検挙件数が高止まりであることを問われたのに対し、同社社長は「違反を繰り返しているのは本当に一部」だと発言したとのこと。
さらに同社長は、警察などと連携して違反対策を強化していると主張。飲酒運転やひき逃げなど重大な違反を確認した利用者のアカウントは即座に凍結したり、また比較的軽微な違反についても、独自のシステムによって点数化し、期間内に複数回確認された場合はアカウントを無期限停止するなどの対策を取っていると語った。
しかし、この「違反をしているのは一部」という発言に対し、SNS上からは「一部ではない」「本当にごく一部の人たちが繰り返し違反をしてると思ってるなら認識がずれている」といった、反発の声が殺到する事態になっている。
Luup社長「一部利用者が何度も違反」と言われてるようですが、「一部」ではないように思います。免許制ではない為か、交通ルールを知らないユーザーが事故しそうになった場面に何回か遭遇したことがあります。 pic.twitter.com/0CkuUYGuby
— TOMOKIN 友金良太 (@TOMOKIN_Voice) December 3, 2024
電動ボード、検挙高止まり Luup社長「一部利用者が何度も」 悪質違反には厳罰化の意向
岡井氏
「違反を繰り返しているのは本当に一部」本当にごく一部の人たちが繰り返し違反をしてると思ってるなら認識がずれている。
無免許で乗れるからルールを知らないんだよ。免許制にすればいいだけです。 pic.twitter.com/2UAuB8H3eV
— 妖精トロールカバじゃない (@amse070707) December 3, 2024
首都高を走行する電動キックボードも
2023年7月の改正道交法施行により、大きさや最高速度等の要件を満たす電動キックボードは「特定小型原動機付き自転車(特定小型)」と定義され、16歳以上であれば「運転免許不要」「ヘルメット任意」で運転できるように。
この“規制緩和”を追い風に、事業を俄かに拡大させているのがLuupなのだが、いっぽうで電動キックボードを巡っては、その利用者らによる交通ルールの遵守意識がすこぶる低いことがかねてから問題視されており、実際昨年の道交法改正から1年間で、電動キックボード利用者が交通違反検挙数は全国で2万5156件にのぼったということ。
これは12月に3号渋谷線で発生した電動キックボードによる不法立入の映像です。
幸いにも後続車が電動キックボードの存在に気づき、重大事故には至りませんでした。
高速道路上での電動キックボードの使用は禁止されています。
命に関わる重大事故につながるため、絶対にやめてください。… pic.twitter.com/EB43lp7jK1
— 【公式】道路交通情報@首都高 (@shutoko_traffic) December 4, 2024
その具体的なケースとしては飲酒運転をはじめとして、枚挙に暇がないといったところなのだが、つい最近では電動キックボードが、なんと自動車専用道路である首都高に不法立入している映像もSNS上で出回り、多くの人々を唖然とさせたばかり。
特に日頃からクルマを運転するドライバーからすれば、こういった手合いが道路上に増えることで、無用の事故に巻き込まれるリスクが激増するということで、殊更白眼視されているいったところだ。
このように実際に多くの違反者が出ており、またそれ以上に検挙を逃れている者も多いことも間違いなさそうな状況にもかかわらず、社長が「違反をしているのは一部」といった、いわば“矮小化”とも取れる発言をしたことで、俄かに炎上しているLuup。
そもそも同社の事業拡大のきっかけとなった道交法改正に関しても、当初は「どうしてそんなことがまかり通るのか」といった疑問の声が多かったのだが、これに関しては、同社が雇ったロビー活動を専門とするコンサル会社による、議員や官公庁への働きかけが功を奏した、というのがどうやら真相だったよう
さらに、それに付随する話として、先日大いに騒がれたのが、同社監査役に元警視総監だった人物を迎えたという人事だ。
この何ともあからさまといった起用に、SNS上では「ズブズブ」「天下り先か」といった批判が噴出するという事態となったのだが、そのいっぽうでは「盤石なロビイング」といった皮肉交じりの見方も。こういったある意味での抜け目のなさ、あるいはあざとさといったところも、Luupへの反発が広がるひとつの要因となっているようだ。
嵐・二宮を起用した新CMの“裏目的”
そんなLuupのあざとさを象徴する出来事として、一部ネット上で取沙汰されているのが、今年11月からテレビで見かけるようになった、嵐・二宮和也を起用した同社のテレビCM。
Luupも最近では東京・大阪といった大都市圏だけでなく、仙台・広島・福岡などといった各地方都市にも利用エリアを順次拡大。それだけに知名度のさらなるアップなどのために、全国的にCMを打つには絶好のタイミングとは言えそうなのだが、ただその反面で、テレビなどでの同社や電動キックボードに対するネガティブな報道を封じるための布石であるとの声も多いようだ。
数日前から急にLUUPが意識高い系を拗らせたような胡散臭いCM始めたけど、改正道交法絡みで違反者が大量に報道されることを恐れてマスゴミに金をバラ蒔き始めたかーという感想にしかならなかった。
というかニノさん仕事選べよ…
— 水瀬麗亜 (@Reah_Minase) November 7, 2024
「LUUPのシステム障害&車両放置問題をなぜテレビで取り上げない」というご意見を多々頂きます。
LUUPはテレビCM放送中ですので、テレビ局がスポンサーの顔色を伺って配慮しています。
オールドメディア問題が話題ですが、政治だけでなく社会課題を取り上げない報道姿勢にこそ、苦言を呈したいです。 pic.twitter.com/sL6kXkgFSu— のぶゆき (@noguchinobuyuki) November 21, 2024
近年ではビッグモーターが、強引すぎる営業活動など様々な疑惑がネット上では大いに取沙汰されながらも、テレビ・ラジオなどでは沈黙が続いていたという事例もあり、大スポンサーに対する忖度は存在するというのが大方の見方。それだけに、今回取沙汰されているLuupのCM放映の“裏事情”も、一定の信憑性をもって受け止められているといった状況のようだ。
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