<防衛関連に追い風>
三菱重工は、日本の防衛装備品を製造しています。
防衛装備品とは、簡単にいうと自衛隊の航空機や戦車などのことです。
この防衛装備品の予算は、これまで日本のGDPの1%が目安とされていました。
ですが、2023年から2027年にかけて防衛費をGDPの2%へと上げることが国の方針として決まりました。
つまり足を置いている市場規模が2倍になるということで、三菱重工にとってはかなり大きな追い風となります。
また、防衛装備品が製造できる会社はIHIや川崎重工などと限られています。
そのなかでも、筆頭となる会社が三菱重工です。
このことから、三菱重工は大きな波に乗って業績が伸びています。
三菱重工の成長要因となった強みを3つ紹介
三菱重工は2つの追い風を受けて大きく業績を伸ばしてきていますが、その恩恵を受けられたのは元々もっていた強みがあったからです。
ここでは、三菱重工の強みを含めた成長要因について解説します。
<1. 高い技術力>
三菱重工の強みとして、高い技術力が挙げられます。
三菱重工は創業140年で古くからの歴史があり、これまで航空機や発電設備、ロケットなど多くの事業を手掛けてきました。
その中でもガスタービンの世界シェアはトップクラスで、三菱重工の技術力の高さの表れだといえます。
また歴史的な流れとして、1970年代には重厚長大から軽薄短小といった風潮がありました。
ですがそこで事業を撤退せずに技術を磨いてきたからこそ、競合が少ない寡占市場ができていまの地位を築けています。
<2. 国とのつながり>
三菱重工は、国との結びつきが強いことから大型案件が多く社会的な信用も強いので会社として安定しています。
たとえば、防衛関連の受注や直近のロケット打ち上げにも三菱重工は携わっています。
また火力発電や原子力発電の技術を持っていて、国が主導となる案件が多いです。
ですが国から受ける案件なので、利益や効率を多少損なってでも国の意向に従わなければいけない部分もあります。
それでも、国とのつながりが強いことは大きな強みだと言えます。
<3. 構造改革が行えるようになってきた>
三菱重工の成長要因として、近年構造改革が行えるようになってきたことが挙げられます。
2019年に泉澤清次社長が就任して、様々な低収益事業からの撤退や資産の売却などを行えるようになりました。
これまでは国との関わりも強く歴史ある企業なので、しがらみも多いことから事業撤退などが難しかったと考えられます。
ですが、泉澤社長になり近年では経営効率を高めるためのスリム化を行えるようになりました。

2021年工作機械から撤退ということでニデックに売却、2023年にはMRJの開発を中止しています。
一方で、三菱電機と発電機分野で事業統合し経営資源を集中させる動きが見られました。
これが功を奏し、ある程度スリムになったところで追い風が吹いたからこそ利益を右肩上がりに伸ばせたと思います。
これを受けて経常利益率が元々3〜4%とかなり低かったのですが、直近では6〜7%です。
ROEに関しても以前は5~6%程度でしたが、2024年3月期には11.14%と10%を超えてくるようになりました。

三菱重工の今後を見通す際に注目すべきポイント
三菱重工の業績が好調な理由や、会社自体の強みについてはわかったと思います。
ですが、重要なのは長期的にみて好調な業績がこれからも続くのかが気になるところですよね。
そこで、長期的にエネルギー関連と防衛関連の需要がどうなっていくのか予想する上で注目するべきポイントなどを解説していきます。