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ファーストキッチン消滅!? 日本「ハンバーガー戦争」の勝者は誰だ=安部徹也

サントリーがファーストキッチンの売却を決めた戦略的背景

それでは、以上の両社の現状を踏まえたうえで、今回のサントリーとウェンディーズ・ジャパンが、ファーストキッチンの売買契約に合意した背景にはどのような戦略的な思惑が隠されているのでしょうか?

まず、サントリーにおいては、財務体質の急速な悪化から事業の選択と集中を急がなければいけない背景があります。

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最近、積極的なM&Aで売上はここ5年間で8,000億円以上増加し、前期は2兆6,868億円と過去最高を記録し、2年連続でキリンホールディングスを抑えて首位を維持しました。

ところが、積極的なM&Aは一方でサントリーの財務体質に暗い影を落としています。たとえば、アメリカのビーム社を買収した際に1兆6,000億円を超える巨費を投じた影響で、有利子負債は2兆円を超える水準まで達してしまったのです。自己資本比率でみれば、2013年12月期の32.3%から2015年12月期は18.6%と大きく落ち込み、財務の健全性は急速に悪化の一途を辿っています。

そこで、財務の健全化を図るうえで、あまり収益を生み出さない事業は高く買い取ってくれる企業が現れれば、積極的に売却する方針を立てていることが見て取れます。

実際に、ファーストキッチンの財務諸表を見ると、利益は出ていますが、わずか3,000万円ほどであり、これまでの赤字が積み重なり利益剰余金はマイナス18億円で債務超過状態に陥っています。

サントリーは、同じように2016年1月にサンドイッチチェーンのサブウェイの株式を65%売却することを発表しましたが、その際には、応分の総資産額と同程度の金額で売却に踏み切っているだけに、今回も推測ではありますが総資産である40億円前後の売却価格で合意し、売却を決定したのかもしれません。

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Next: ウェンディーズが目を付けた日本市場の大きな「変化」

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