従って、備蓄米の放出はあくまで一時的な供給補完策であって抜本策にはなりません。古いコメを安く放出しても、新米の価格を下げることはできません。新米の仕入れコストが高い分、これが価格引き下げの壁になります。
結局、当座の供給増とは別に、抜本的な対策が必要になります。
7年産米の増産体制急務
根本的な問題は、政府の減反体制を撤回し、今年度の生産量をいかに拡大するか、対策を講じることです。
政府は「すでに減反策はとっていない」と言いますが、実際には田んぼをコメ以外の作物に転作すると補助金を出すなど、コメ以外の農産物に転換するよう推奨しています。そしてコメの生産を絞ってコメ価格の高止まりを画策しています。
つまり政府の意図に従ってコメ価格が上昇しています。
この姿勢を即時転換し、今ある田んぼだけでもコメ作を進め、今年度のコメ生産量を極力増やすことが必要です。万が一米が余って価格が下がるようなら政府が備蓄米の補填のために買い上げればよいでしょう。現在の転作奨励金は、コメ増産によって売渡価格が下がった場合の所得補填に充てればよいでしょう。
もっとも、農家も高齢化が進み、後継者不足で休耕田も増えています。農協は反対するでしょうが、これらを一まとめにして、大規模農業化を進め、機械の導入で人手不足を乗り越える必要があります。これで生産量を増やしておくことが、価格の抑制のみならず、食料安全保障にも資する面があります。
現在、7年産米の先行契約が進み、すでに前年よりさらに2割から3割高い価格での契約が進んでいるといいます。この先行契約価格を抑えるためにも、今年度産のコメ増産の目途をつけたいところ。早めの増産計画提示が必要になります。
コメ輸入の解放
国産米の増産がすぐにかなわない場合、全体の供給を増やすためには、ある程度輸入米に頼らざるを得なくなります。
5キロ1,800円の古古古米より昨年生産されたカリフォルニア米、台湾米を2,000円で売った方が消費者の口に合い、新米への需要を抑える可能性があります。
トランプ政権との関税交渉を進めるうえでも、トランプ氏になにがしかの「成果」「得点」を与える必要があります。相互関税は米国際貿易裁判所が違法判決を出しましたが、自動車や鉄鋼関税は別です。「海老で鯛を釣る」ためにも、米国産米の輸入枠拡大、自動車などの関税引き下げをオファーし、国内需給を緩和することも考える必要があります。






