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真の勝者は?NTTの巨額M&A戦略を徹底解剖〜NTTデータ完全子会社化と住信SBIネット銀行買収の真意とは=栫井駿介

<NTTの強み:潤沢なキャッシュフローと積極的な株主還元>

NTTの大きな強みは、毎年2兆円以上の営業キャッシュフローという潤沢な資金力です。この資金を使って、積極的な自社株買いを行っています(今回も2,000億円規模を予定)。自社株買いは発行済み株式数を減らすため、1株当たりの利益を向上させる効果があります。

また、配当も非常に手厚く、直近の配当利回りは3%以上あります。配当と自社株買いを合わせると、株主還元を通じて1株当たりの価値を安定的に維持・向上させられる企業だと言えます。

日本電信電話<9432> 週足(SBI証券提供)

日本電信電話<9432> 週足(SBI証券提供)

<NTT株の懸念点:大規模買収リスクとIOWN構想>

一方で、規模が大きくお金があるがゆえに、資金の使い方に注意が必要な面もあります。今回のように、必ずしも合理的とは言えない高値での買収や、不明瞭な目的での出資をしてしまうリスクも否定できません。

また、NTTは「IOWN(アイオン)構想」のような巨額の資金が必要となる大規模な成長戦略も掲げています。こうした大規模投資が、今後の収益や株主価値にどう影響してくるかは注視が必要です。

まとめ:投資判断のポイント

個人的な意見としては、ドコモが稼いだ収益をひたすら自社株買いに回してくれれば、株主にとっては非常に良い会社になるのでは、とも思います。しかし、企業としては当然成長性も追求する必要があります。

したがって、NTT株への投資を考える際は、安定した株主還元という魅力に加え、今後の成長戦略の進捗と、潤沢な資金がどのように使われていくのかをしっかりと見極める必要があると言えるでしょう。


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【関連】100億円投資家・井村俊哉さんのファンドに乗っかるべきか?運用方針と6つのリスクを解説=栫井駿介

image by: Tada Images / Shutterstock.com
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2025年6月4日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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