将来、小泉進次郎氏が首相に就任した場合、日本政治や外交にどのような変化が起きるのか。本記事では、石破総理の政権運営をめぐる動向や衆議院解散の可能性、そして小泉氏の急激な人気上昇に伴う首相登板の展望を解説する。さらに、トランプ政権下で刷新された米国の対日外交を担う新たな「ジャパン・ハンドラー」たちや、アメリカ・ファーストを掲げる外交政策の行方についても深掘りし、今後の日米関係と日本の外交戦略について解説する。(『 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 』高島康司)
※本記事は有料メルマガ『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』2025年5月30日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
小泉進次郎が首相になったら何が起こるのか?
将来、いずれかの時期に小泉進次郎が首相になった場合、何が起こるのか展望する。前回の記事の続きである。
自民党の森山幹事長は、野党側が内閣不信任決議案を提出した場合の対応について、石破総理大臣が適切に判断するという考えを示した。自民党内からは、提出されれば石破総理大臣が採決を待たずに衆議院の解散に踏み切るのではないかという見方も出ている。
今の国会の会期末まで3週間を切る中、終盤国会に向けて、立憲民主党が石破内閣に対する不信任決議案を提出するかどうかが焦点となっている。
これについて、自民党の森山幹事長は3日の記者会見で「野党が不信任決議案の提出を決定したとは、まだ承知していないし、その件について私が石破総理大臣と相談したということもない」と述べた。そのうえで「仮に不信任決議案が提出されれば、石破総理大臣が適宜適切に判断されるものだ」と述べた。
内閣不信任決議案をめぐっては、自民党内から、提出されれば石破総理が採決を待たずに衆議院の解散に踏み切るのではないかという見方も出ている。
まだ分からないが、衆議院の解散して総選挙が実施される可能性は大きくなっている。いま進次郎の人気が非常に高まっているので、いまの時点で総選挙を実施すると、自民党は大勝して議席を増やし、少数与党の状態を脱するかもしれない。すると、しばらくは石破政権は続くだろうが、自民党勝利の立役者である小泉進次郎の人気も高まり、近い将来、いずれかの時期に首相になる可能性は高くなることは間違いない。
新しい「ジャパン・ハンドラー」の動き
前回の記事では、トランプ政権でかつてのエスタブリッシュメント型の「ジャパン・ハンドラー」はすべて排除され、トランプの「アメリカ・ファースト」の外交方針で動く新しいメンバーに完全に入れ替わったことを書いた。コルビー国防次官やポンペオ元国務長官などのメンバーを紹介したが、他にどのような人々が新しい「ジャパン・ハンドラー」なのかを紹介する。以下のような人々だ。
<ケネス・ワインスタイン>
「ハドソン研究所」で「日本部門」の統括者。岸田・安倍両政権関係者とも交流する。経済安全保障、対中包囲網(QUADやIPEF)に関する提言者だ。実際に日本の政治家・研究者・官僚と定期的に会談・政策交流を行っている。
<ジョセフ・M・ヤング>
米国外交官。2025年2月から4月まで駐日米国大使代理を務め、日米関係の維持に努めた。長年にわたり日本に関与し、安定した外交関係の構築に貢献している。
<ビル・ハガティ>
米国上院議員(テネシー州選出)。2017年から2019年まで駐日米国大使を務め、日本との関係構築に尽力した。日本の自民党副総裁・菅義偉と親交が深く、トランプ政権とのパイプ役として期待されている。
このような人々だ。そして、前回紹介したエルブリッジ・コルビーやマイク・ポンペオを含め、次のような日本の政治家との接触が確認されている。
<茂木敏充>
前自民党幹事長。2019年に外務大臣を務め、トランプ政権との貿易交渉を主導した。「トランプのささやき役(Trump whisperer)」と称され、日米交渉のキーパーソンとされている。
<山田重夫>
駐米日本大使(2023年12月着任)。外務省で北米局長などを歴任し、トランプ政権とのパイプを築いてきた。すでに以前からトランプ政権再登場を見越し、関係構築に努めている。
<小泉進次郎氏(農水相)>
2024年、「ハドソン研究所」主催のイベントに参加し、日米同盟の重要性や外交関係について議論した。
<小野寺五典氏(元防衛大臣)>
同じく2024年のイベントで、ワインスタインと共に日米同盟や地域安全保障について意見を交わした。
<佐々江賢一郎氏(元駐米大使、日本国際問題研究所会長)>
2022年と2024年に「日本国際問題研究所(JIIA)」主催のウェビナーで、ワインスタインと共に米国の政治情勢や日米関係について議論した。
<玉城デニー(沖縄県知事)>
2024年、ワインスタインは沖縄の安全保障環境や米軍基地問題について、玉城知事と意見交換を行った。
また、石破首相も彼らと接触していることが分かっている。これらの人々が新しい「ジャパン・ハンドラー」の接触対象になっている。このリストに小泉進次郎も入っていることは大変に興味深い。
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