<4. 同盟国との関係再構築>
アントンの政策企画局長としての役割には、同盟国との関係を再評価し、米国の利益に基づいた新たな協力体制を構築することが含まれる。彼は、伝統的な同盟関係を維持しつつも、各国との関係を再検討し、必要に応じて調整を行う柔軟なアプローチを取っている。
アントンの日本に対する方針
では、アントンのような「アメリカ・ファースト」主義者は日本に対してはどのような方針で迫るのだろうか?
日本に対して経済的圧力、特に関税や貿易交渉を戦略的レバレッジとして使用することを辞さないと思われる。高関税の適用と安全保障政策を絡めてくる可能性が非常に高い。日本に、中国封じ込め策への全面協力を要請することの考えられる。
アントンを筆頭にした「アメリカ・ファースト」主義の政策を簡単にまとめた。
<基本方針>
関税はアントンにとって「交渉の武器」
アントンは、トランプ政権時代の政策立案に深く関わった人物であり、当時の「関税は交渉のツール」という考えを共有している。彼の思想では、同盟国であっても米国の安全保障戦略に同調しない場合は経済的圧力を行使すべきとする立場。
日本が対中貿易で慎重な姿勢をとり、米国の封じ込め戦略(特に半導体輸出管理など)に積極的に加わらない場合、アントンは、日本製品(例:自動車、部品、電子機器など)に高関税を課すことを「示唆」または「警告」する可能性が高い。
<要求される可能性のある協力内容>
1. 対中半導体輸出の制限強化
日本企業が中国に輸出している最先端製造装置(例:東京エレクトロン、ニコンなど)に対して、アメリカの方針に全面的に一致させることを求める。
2. インド太平洋における安全保障協力
台湾有事に備えた基地使用、補給支援、情報共有体制の強化。自衛隊の役割拡大に向けた法的・政治的準備。
3. 中国依存の脱却と経済連携
米国主導の経済枠組み(IPEFなど)への積極的参加と、対中依存の低下を日本に強く要求。
日本の立場とジレンマ、進次郎はどうするのか?
トランプ政権からこうした要求が出された場合、明らかに日本はジレンマに陥ることになる。
日本は中国と経済的に深く結びついており、「全面的な封じ込め」には慎重でなければならい。一方で、日米同盟と経済的安全保障を考慮すれば、米国の圧力には一定の譲歩を強いられることになる。
アントンのような戦略家はこの日本の立場の「間隙(ギャップ)」を突き、「関税という鞭」で協力を引き出そうとする可能性が高い。アントンが日本に中国封じ込めへの全面協力を求め、従わなければ高関税の適用をちらつかせる戦術を取るのは、彼の思想と過去の行動パターンから見て極めて現実的だ。
その際の交渉は、安保・経済・外交の全方位戦となり、日本政府には高度なバランス感覚と戦略的判断が求められる。現在、高関税の適用を巡る日米の交渉も妥結に近いと見られている。日本からの多額の投資と引き換えに、24%の高関税を10%に低める方向で妥結しそうだとのうわさもある。しかし一貫性のないトランプ政権は、この妥結した結果を反故にする可能性も十分に考えられる。最終的には、経済交渉と安全保障をセットにして組み合わせると思われる。
衆議院選挙が実施され、自民党内で影響力を大きく増した進次郎は次期首相になる動きが加速してくるのは、こうしたタイミングなのだ。極端な対米従属路線で、アメリカの要求通りに日本に新自由主義的な競争原理を導入した小泉純一郎の政権は、実質的に日本を大きく停滞させた。大都市には派遣切りされたネット難民が溢れ、ホームレスも一気に増大した。また、犯罪率も増加した。ただ、株価だけが上がった。
小泉政権のもう一つの特徴は、強い反中国の外交方針だったことだ。中国との関係は明らかに悪化した。