ジョージ・ソロス「再帰性理論」が示すバブル生成のメカニズムと市場の過熱感
今回の株価上昇を理解する上で、投資家ジョージ・ソロス氏の提唱する「再帰性理論」が非常に参考になります。
通常、自然界では何かが「行き過ぎる」と、元に戻そうとする「負のフィードバック」が働きます。例えば、気温が上がりすぎると積乱雲ができて雨が降り、気温が下がる、といった具合です。
しかし、ソロスは株式市場においては、一時的にこの「負のフィードバック」が働きにくくなると指摘します。つまり、株価が上がると、その上昇自体に市場が反応し、「良い材料」が次々と報じられ、それがさらなる株価上昇を引き起こす、という「正のフィードバック」が働くのです。これは、バブルが生成される過程そのものです。
現在の市場には、まさにこの「行き過ぎた」状態を示す加熱感が見られます。
- 騰落レシオ
この指標は、値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率から市場の過熱感を示すものです。現在の騰落レシオは、25日移動平均で140、15日移動平均で170といった非常に高い水準に達しており、過去数年で最も高い加熱状態を示しています。
- 買場はどこか?
過去のデータを見ると、騰落レシオが低い時(例えば、4月のトランプ関税ショック時のように60を切るような時)が「売られすぎ」で、絶好の買い場となります。現在の高値で買うことは「ジャンピングキャッチ」のリスクを伴う可能性が高いと言えます。
逆説的な市場心理:悲観論者がいる限り上昇は続く?
市場が加熱しているにもかかわらず、まだ株価が上昇する可能性もあります。これは非常に逆説的な考え方ですが、市場に「悲観論者」が残っている限り、相場の上昇は続きやすいという特性が株式市場にはあります。
- 悲観論者の「降参」
- バブル崩壊のタイミング
「まだ市場は危険だ」「いつか下がるはずだ」と考えて株を買わずにいる悲観論者がいるということは、彼らが最終的に「もう耐えられない」「買わなければ後悔する」と「降参」した時に、新たな買い手となる余地があることを意味します。
バブルが崩壊するのは、全ての悲観論者が降参して買い切り、新たに買う人がいなくなった時だと考えられています。
したがって、短期的には、まだ悲観論者が残っているため、株価がさらに上昇する可能性はあると見られています。これは「ハイリスク・ハイリターン」の状況と言えるでしょう。
今後の見通しと投資戦略:短期 vs 長期
現在の状況を踏まえると、投資家はどのような戦略を取るべきでしょうか。
<短期トレーダーの戦略>
- 短期的な上昇の可能性はまだあるため、今の局面は「ハイリスク・ハイリターン」と認識しつつ、利益を狙う余地があるかもしれません。
- しかし、どこかでバブルが弾ける可能性を常に意識し、警戒しながら取引に臨む必要があります。
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