<長期投資家の戦略>
- 現在の加熱した状況は、長期投資にとっての「買い時」ではないと考えるべきです。
- 長期投資家は、周囲が熱狂して買っている中で、「買いたい気持ちをこらえる」忍耐力が求められます。
- 有名な経済評論家・株式投資家の邱永漢さんの言葉に「株の利益は我慢料」というものがあります。まさに今が、長期投資家にとって我慢の時と言えるでしょう。
- バブルの最後の局面は、最もリスクが高まるにもかかわらず、最も急激に上昇しやすいという特性があります。もし私自身が「もう無理、買わないと!」と言い出したら、それがバブルのピークだと思っていただきたいです。
ハワード・マークスの著書「市場サイクルを極める」では、上昇局面の市場サイクルが以下のように説明されています。
1. 景気拡大、経済の良いニュースが続く。
2. 企業利益が予想を上回って拡大する。
3. メディアが良いニュースばかり報じる。
4. 証券相場が強含む。
5. 投資家が次第に自信を強め、楽観的になる。
6. リスクが低く、相対的に安全だと認識される。
7. リスクを許容することが確実に利益を上げる道だと考える。
8. 強欲が行動を促す。
9. 投資機会に対する需要が供給を上回る。
10. 資産価格が本質的価値を超える水準に上昇する。
11. 懐疑主義の度合いが弱まり、市場への信頼が強固になることで、リスクの高い取引が可能になる。
12. 状況が悪化することが全く想像できなくなり、どんな良い出来事も当然と考えるようになる。
13. 誰もが状況が永遠に良くなり続けると見込む。
14. 損失を出す危険性を軽視し、機会を逸することだけを懸念する。
15. 売る理由がなく、売りを余儀なくされる者もいない。
16. 買い手の数が売り手の数を上回る。
17. 相場が一時的に下がると、投資家が喜んで買いに動く。
18. 価格が高値を更新する。(今この辺りかもしれません)
19. メディアがこの素晴らしい出来事を大々的に報じる。
20. 投資家が気分を高揚させ、警戒心をなくす。
21. 証券保有者が自身の才知に驚嘆し、場合によっては買い増す。
22. 傍観し続けていたものが後悔の念を抱き、降伏して買いに動く。
23. リスクが高まる。
現在の市場はまさに、このサイクルの最終局面に近づいている可能性があります。このような状況では、投資家は「機会を逸する可能性」へのこだわりを捨て、「損失を出すこと」だけを懸念すべきであり、「警戒心」が非常に重要であると、マークスは述べています。
まとめ
日経平均株価の過去最高値更新は、単に経済の好調を示すだけでなく、市場の心理や特有のメカニズムが複雑に絡み合った結果と言えるでしょう。特に「降参」という心理が現在の株価上昇を加速させている側面は強く、短期的な高揚感と長期的なリスクを冷静に見極めることが重要です。
長期投資家としては、今の加熱感を冷静に見守り、忍耐強く「買い時」を待つ姿勢が求められます。
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『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2025年7月24日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。