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新米価格、昨年比3割高騰の衝撃。小泉進次郎・農協・日銀も窮地…国民生活はさらに苦しく=斎藤満

高い概算金を払った農協

農協もコメ価格高騰で被害を受ける可能性があります。

昨年度産のコメ不足から、政府備蓄米の放出、輸入米の増加と、小泉農相になって農協にとっては好ましくない動きが続いています。昨年のコメの集荷不芳を受けて、今年は早くから高い概算金を提示してコメの集荷を進めています。60キロ当たり3万円前後の水準と言います。

この概算金に諸々のコストを加えると、農協経由のコメ価格は昨年より大幅高で卸されることになります。農協の直販所では1キロ当たり1,300円から1,700円と言った価格も見られました。これは前年の5割から10割高といいます。5キロにすると6,000円から8,000円以上になります。

これだけの高価格になると、さすがに最終消費者も手が出なくなり、コメの売れ行きが悪くなることを心配し始めました。高価格が続けばいくら増産してもコメ離れが進む可能性が懸念されています。

スーパーなどで売れ残れば、廃棄、仕入れ抑制となり、価格引き下げ圧力となります。また農協を経由しない農家直買い業者が増え、農協制度の維持が難しくなる面があります。農協が卸価格を抑えれば、収益悪化となり、系統金融全体に影響を及ぼす可能性もあります。高値の概算金による集荷が却って農協の足を引っ張る可能性があります。

食料インフレは一時的とする日銀

そしてもう1人、コメ価格の上昇で苦しい立場になるのが日銀です。

日銀は現実の物価が3年以上3%以上の上昇となっている現実に目をつぶり、食料中心の物価高騰は一時的と言い続けています。コメの価格高騰も一巡し、前年比上昇率は低下からマイナスにもなるとみています。

確かに、これまでのインフレの主体は食料品で、食料品だけで消費者物価を2%近く押し上げ、物価上昇の半分以上を食料品の上昇が占めています。日銀は食料品を除けば、基調的インフレは2%に達していないといい、食料品の落ち着きも時間の問題としています。この食料品価格上昇の大きな部分をコメの価格上昇が担っています。

そしてこのコメの価格上昇は続くはずがないとみて、上昇率の低下を見込んでいます。実際コメ価格は9月の東京都区部で前年比47%の上昇と、一時の2倍高から減速しています。

しかし、コメ価格の落ち着きの中には、政府備蓄米の押し下げ効果もあり、これがほぼ消滅しようとしています。銘柄米自体は6年産米の価格高止まりが続き、備蓄米効果が薄れるにつれてコメ価格は限界的に上昇しています。そして7年産の新米が入るにつれて、この価格上昇がまたコメ価格全体を押し上げます。

Next: 貧乏人は麦を食え?上がり続ける消費者物価…

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