■業績動向
1. 2026年3月期中間期の業績概要
藤商事<6257>の2026年3月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比64.8%減の8,851百万円、営業損失が3,753百万円(前年同期は5,725百万円の利益)、経常損失が3,621百万円(同5,833百万円の利益)、親会社株主に帰属する中間純損失が2,997百万円(同3,809百万円の利益)と減収減益となった。
売上高の内訳は、パチンコ遊技機が前年同期比58.1%減の8,850百万円、パチスロ遊技機は新機種投入がなく売上計上はなかった。パチンコ遊技機は新規タイトルで2機種を発売し、シリーズ機種も含めて販売台数は同58.6%減の22千台となった。新規タイトルはすべてアニメ系ジャンルのスマート機で、平均販売単価は40万円とほぼ前年同期並みの水準となった。
売上総利益は前年同期比70.1%減の3,993百万円となり、売上総利益率は同8.0ポイント低下し45.1%となった。これは、パチンコ遊技機の新規タイトル2機種がいずれもスマート機で本体販売だったため材料費率が上昇したこと、また生産数量が大きく減少したことにより固定費率が上昇したことが主因だ。パチンコ遊技機の販売形態には、外枠も含めて販売する本体販売のほか、盤面(パネル)とサイドユニットのみ交換して販売するパネル販売がある。スマート遊技機は内部機構が従来機と異なるため、従来機と入れ替えする場合は必然的に本体販売となる。パネル販売と比較して本体販売の場合は、外枠分の原材料費が加算されるため本来であれば平均単価も上昇する傾向にあるが、2026年3月期中間期の平均単価はほぼ前年同期並みの水準にとどまっており、こうした点も売上総利益率低下の一因になったと見られる。
販管費は前年同期比1.8%増の7,747百万円となった。主な増減要因は、パチンコ及びパチスロ遊技機のソフト開発費を中心に研究開発費が583百万円増加したほか、広告宣伝費が2024年7月より開始した「anime blast(アニメブラスト)※」の運営等により61百万円増加した。一方、賞与引当金の減少により人件費が233百万円減少し、販売台数の減少に伴い販売手数料が302百万円減少した。2025年9月末の従業員数は主に開発人員の増員により、前年同期比18名増の469名となった。
※ YouTube、X、Instagram、TikTokでアニメの声優陣なども出演してアニメコンテンツ自体の魅力を発信している。
「e女神のカフェテラス」が発売2ヶ月後も高稼働を継続中
2. パチンコ遊技機の販売状況
パチンコ遊技機は、前期末に発売し4月より本格導入を開始した「P 痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。」のほか、新規タイトルとして「e一方通行 とある魔術の禁書目録」(2025年6月発売)、「e女神のカフェテラス」(同年7月発売)の2機種を発売し、その他シリーズ機種も含めて販売台数は前年同期比58.6%減の22千台となった。新規タイトル2機種はいずれも「BIGスタート※1」を搭載し、2025年7月より解禁された「LT3.0プラス(ラッキートリガー3.0プラス)※2」適応機種となっている。
※1 「BIGスタート」とは、従来機種よりもヘソサイズを広げ、効率的に遊技できるようにしたもの。
※2 「LT3.0プラス(ラッキートリガー3.0プラス)」では、当たり方のバリエーションを広げることが可能となったほか、大当たり後のゲーム内容についても規制が緩和され、ゲーム性を高めた様々なタイプの機種を開発できるようになった。
このうち、「e一方通行 とある魔術の禁書目録」は大当たり確率が重い一方で大量出玉が期待できるハイスペック機で、販売台数、稼働ともにほぼ計画どおりに推移した。一方、「e女神のカフェテラス」は初めて使用するIPの機種であるため、ホールの購入が慎重となり販売台数は計画を下回ったが、導入後の稼働は想定以上に高く、2ヶ月を経過しても高稼働を続けており、中古機市場でも高値で取り引きされるほどの人気となっている。同タイトルはラブコメディ漫画として人気となりアニメ化されたコンテンツで、業界最高峰の出玉性能やゲーム性の高さに加えて、最新鋭の半導体チップを搭載することによって実現した超美麗映像でのキャラクター演出などが顧客支持の高さにつながっているようだ。同社では増産については様子見方針だが、次機種以降では販売台数の増加が期待できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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