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高市自民「大勝利」の裏で膨れ上がる日本のリスク。経済成長の起爆剤か、金融危機の引き金か=高島康司

どちらの予測が実現するか?

このように、「サナエノミクス」では両極端なシナリオが成り立つ。では、これらの実現性はどうなのだろうか?結論から言えば、「2026年中盤までは前者の苦境に耐え、そこを乗り越えられるかで後者が決まる」という時間差の展開が予測される。

市場は高市首相の政策を「インフレを加速させる火種」と見るか、「デフレ脱却を決定づける特効薬」と見るかで激しく揺れているのが現状だ。選挙での圧勝は強力な政策実行力を意味するが、同時に市場からは「財政規律」に対するかつてない厳しい監視の目が向けられることになる可能性がかなり高い。

その結果、短期的には、国債の暴落による金利の高騰と円安による物価上昇で実質賃金が低下し、景気が急激に冷え込む可能性もある。これを抑えるために、積極財政政策を根本から変更し、国債の下落と金利の上昇にストップをかけざるを得なくなってくるかもしれない。すると、これで高市政権は、成長戦略を放棄せざるを得なくなる可能性もある。

しかし、この短期的な危機のフェーズをうまく乗り越えられれば、政府が主導する17の分野への戦略投資の効果が徐々に現れる可能性もある。政府主導の戦略投資は民間にも投資を強制するので、労働力需要の増大などそのプラスの効果も出てくるだろう。

さて、このように見ると、多くの専門家やエコノミストの間でも短期的な悲観シナリオと中長期的な楽観シナリオの2つに見通しが真っ二つに分かれている。しかし、全体的には前者の悲観シナリオを強調する意見がいまのところ強いように思う。筆者だが、短期の悲観シナリオが強く現れ、中長期的な楽観シナリオにはたどり着かない可能性が7割、中長期的な成長産業のシナリオの実現可能性は3割程度になるのではないかと見ている。とにかく、これからかなりの変動があると思っていた方がよいだろう。

我々の生活で経験すること

このように、選挙に圧勝した高市政権には、短期的な金融・財政のリスクと、中長期的な発展の可能性という両極端の側面はある。いまのところ、先に書いたように、短期の金融・財政のリスクの発現から拡大財政政策の変更を余儀なくされてしまい、結局は深刻な景気後退に陥ってしまうリスクもまだまだある。この可能性は高いかもしれない。

では当面、我々の生活にはどのようなことが起こるのだろうか?

すでにこれまでの解説から予想できるかもしれないが、改めて要点を生活者の視点でまとめてみた。我々にとっても重要な視点だ。

<1. 家計への影響:食料品減税とインフレの攻防>

高市首相が検討している「食料品への消費税減税(時限的措置)」は、家計にとって強力な追い風になる。

・消費の押し上げ
食料品(酒類を除く)の税率が0~5%に引き下げられた場合、エンゲル係数の高い子育て世帯や低所得世帯ほど恩恵が大きい。

・実質賃金への寄与
政策的に消費者物価指数(CPI)が抑制されるため、2026年後半には名目賃金の上昇が物価上昇を上回る状態、つまり実質賃金のプラス化が達成される可能性がある。

・リスク
減税による消費意欲の向上が、皮肉にもさらなる物価高を招く「需要牽引型インフレ」を加速させる懸念がある。

<2. 住宅ローンと借入:金利上昇の直撃>

積極財政は国債増発を伴うため、長期金利には上昇圧力がかかる。

・固定金利の先行上昇
すでに住宅ローンの固定金利は上昇を始めている。今後、日銀が利上げに踏み切れば、変動金利も追随するはずだ。

・返済負担の増大
住宅ローンの新規購入者だけでなく、変動金利で借り入れている既存の契約者にとっても、利払い負担の増加が可処分所得を圧迫する要因となる。

Next: 投資への影響は?個人ができる防衛策は…

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