問題山積みの日本で、国民の怒りが爆発しない本当の理由とは?
ピーターさんは、「日本にもアメリカと同じような問題が山積みしている」と指摘します。
日本の人口は減少し、成長は横ばいで、低賃金の非正規労働者がかつてないほど増えている。
現状維持に対する「反発」の条件は存在している。それは先月、欧州連合(EU)から離脱を決めた英国、あるいはドナルド・トランプやバーニー・サンダースといった非伝統的な政治家に目を向ける米国と似た反発条件だ。
(出典:同上)
おっしゃる通り。では、なぜ日本国民は、アメリカやイギリスのような過激な行動ではなく、もっとも保守的な自民党、なかでももっとも保守的な安倍総理を支持したのでしょうか?ピーターさんは言います。
なぜ日本ではそうした反発が起こらないのだろうか?
一つ挙げられるのは、他国で不満をかき立てたスタグネーション(景気停滞)はここ日本では全く目新しいことではないことだ。この国は、四半世紀以上前のような経済的けん引役であることをやめてしまい、金利とインフレは1990年代末以降ゼロ近辺になっている。
(出典:同上)
なんと、他の国は、「いままで成長していたが、最近成長しなくなったので不満が爆発しているが、日本は、25年間成長していないので、国民がその状態に慣れている」というのです。確かにそうかもしれません。
国民は、アベノミクスの「ささやかな」成果を認めた?
25年間もまったく成長していないと、いいこと(?)もあります。他の国では、「成果」とされない結果でも、「成果」と認められる。実際、数字を見る限り、アベノミクスは、到底「成功」とはいえません。GDP成長率は、2013年1.36%、14年-0.03%、15年0.47%。しかし、ピーターさんはいいます。
安倍氏の包括的経済政策、つまり「アベノミクス」は、抜本的な金融緩和や、企業の社外取締役増加などビジネス慣行変更などを盛り込んでいるが、日本を急速な経済成長に戻すことはなかった。
しかしそれは株式市場と企業利益を押し上げた。最近逆転しているとはいえ円安のおかげだった。その結果、安倍氏はバラ色の数字を、少ないながら吹聴できた。
不運な指導者が続いた後、日本の多くの有権者は安倍氏のつつましい実績を前向きに評価しようとしたのだ。
(出典:同上)
思い出すと、確かに2013年は、久しぶりのワクワク感がありました。「あの時消費税を上げずに走りつづけていれば、どんなに好景気になっていたことか…」と思うと残念ですが、仕方ないです。
日本国民は、「ささやかな」アベノミクスの成果を、支持したのでしょう…。