「縦割り行政」を超え、各省庁の官僚をまとめるのは誰なのか?
「日本会議」は憲法改正と「天皇制国家」の再興を目標にする宗教色の強い右派のイデオロギー集団だ。以下の活動目標を見ると、政治経済政策の具体的な提言は皆無である。
- 美しい伝統の国柄
- 新しい時代にふさわしい新憲法の制定
- 国の名誉と国民の命を守る政治
- 日本の感性をはぐくむ教育の創造
- 国の安全を高め世界へ平和貢献
- 共生共栄の心で結ぶ世界との友好
そのため、安倍政権の実質的な政策を担っているのは「日本会議」ではなく、「日米合同委員会」に結集しているような官僚の集団であることは間違いない。
一方、官僚組織を見ると、決して一枚岩ではないことが分かる。日本の省庁は完全に縦割り型の組織であり、各省庁は自分のところの「省益」の拡大を最大の目標としている。許認可権、予算配分、天下り先の拡大などだ。
そのため一般的には、こうした各省庁の官僚が省庁の違いを越えた横のネットワークで横断的につながることはないと見られている。
ところが影の統治機関と呼ばれている「日米合同委員会」には、あらゆる省庁の局長クラスの官僚が横断的に参加している。
さらに、「日米合同委員会」が単に在日米軍との協議機関ではなく、日本の国法を左右する重要な決定がここで行われていることは、『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』という2014年発刊の本でやっと明らかになった事実である。
鳩山元首相もこの組織の存在を知らなかったと告白しているように、「日米合同委員会」の存在と機能を知るものは自民党の中枢の一部の政治家と、各省庁の限られた幹部だけであろう。これを知る官僚の数は限定されている。
このように考えて見ると、各省庁の主要な官僚を横断的に結集し、価値観と世界観を共有する集合体へとまとめる機軸となる機関が存在するのではないか。これが筆者の疑問であった。
実はそのような機能を果たしている可能性のある組織が存在する。それが「フォーラム21」というほとんど知られていない研修機関なのだ。
外資系シンクタンクのレポートを読むと、彼らがなんと「日本会議」よりもこの「フォーラム21」の影響力に注目し、安倍政権の去就を分析しているのが分かる。