3.原油相場の展望(今週以降のポイントとして)
今週は目立ったイベントがないため、ホットイベント解説はお休みして原油相場の展望について考えていきたいと思います。
実は、日本経済新聞でも「夏バテ40ドル原油のカラクリ」というタイトルの記事が人気となっていました。先週1バレル=40ドルの節目を割り込みましたから、注目度は非常に高いのでしょう。
※夏バテ40ドル原油のカラクリ – 日本経済新聞
この記事ではアメリカのシェールオイルの生産コストの低下を指摘しています。確かにその通りではあるものの、それはまさに一昨年2014年末からの流れなので、特筆すべきではないと思うのですが…。
まぁ技術というのは価格競争によって急速に洗練されていきますからね。例えるなら、高い原油価格にあぐらをかいて贅肉だらけだった体が、どんどん無駄が削ぎ落とされてマッチョに変わっていくといったところでしょうか。
ちなみに、原油安になると何が問題かというと、経済の停滞が意識されやすくリスクオフ的な動きが出やすくなるということです。つまり、円高になりやすいということで、今週以降も原油の値動きについては注目しておく必要がありそうです。
そして、現在の値動きを受けて国内の多くのエコノミストは今後の原油安を支持しているように見受けられますが、海外では原油がさらに下方向へ動くことは、あまり想定されていないということを覚えておきたいところでしょう。
この理由としては、兎にも角にも原油相場というのは景気の良し悪しではなく、単純な需給バランスでとしていることから、今後アメリカのシェールオイルの生産は長期にわたって停滞することを想定すれば、需給が改善すると見ているようです。
では、なぜシェールオイルの生産が停滞すると考えているのでしょうか?そこには、リグカウントが急低下し過ぎているということを挙げています。リグカウントとは、いわゆるドリルの数のような指標で採掘機による掘削数を表しています。産油能力の先行指標として活用されてきました。
リグカウントは、2009年ごろから急増して2014年10月には1600を超えました。わずか5年足らずで10倍近くに急増したものの、原油安によってそこから急激に転げ落ち、今ではこのピーク時の6分の1以下まで低下しています。
要は2年足らずで、ほぼ2009~2010年レベルにまで減っているのだから生産量が低く抑えられ、ある程度のタイムラグが伴うとはいえ、需給バランスは必ず良くなるとの見方。しかも、大幅な原油高が見込めない中ではリグカウントが一気に増える可能性が低いということも、原油を底堅いとする根拠になっているようです。
う~ん、一時はあまりにも原油の生産が過剰すぎて、貯蔵施設の不足から中古列車を買いあさって貯蔵庫にしているなんて話もあったほどですが、原油在庫統計も徐々に落ち着いているようですので、少なくともガリガリ掘り下げていくような相場は想定しなくても良いのかもしれません。
もちろん、以前のように大幅に上がっていくことも考えにくいですけどね。上限は1バレル=70ドルといった近辺といった見方が海外では一般的のようです。
4.ゆきママのトレード観
今週はレンジを想定しています。なので、短期(数分~数日)的なトレードであれば買いでも売りでもといったところでしょうか。中期(数カ月)だとやはり決め打ちが難しくなっている状況です。長期(年)であれば下がったら買いといった意識で見ています。
また、日々の相場観や具体的なトレードアイディアについては、ツイッター上で公開していますので、ぜひよろしくお願いします。
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※本記事は有料メルマガ『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』2016年8月7日号の抜粋です。毎週いち早くゆきママさんの解説をご覧いただくには、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」』(2016年8月7日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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