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詐欺か、錬金術か。ただの紙切れが「1万円札」になる本当の理由=吉田繁治

偽りの「信用」

銀行家は、「預かり証に対応する金(ゴールド)がない」という真実を、決して知られてはならなかった。

銀行の破産は、発行紙幣(預金と借入)に対応する資産がないことから生じます。現代の銀行も同じです。

フィレンツェのメディチ家、ハプスブルグ家の銀行になっていた南ドイツのフッガー家、アムステルダム銀行などが有名です。英国では、金匠そのもののゴールドスミス・バンクでした。

1694年にはこれが「イングランド銀行」になっていきます。商業銀行が、国家の通貨発行権と結びついて、中央銀行になっていったのです。

この時期、西欧では、民間の金匠が、貸し付けや手形交換も行う銀行になっていきます。

銀行のバランスシートは、単純化すれば、ほぼ以下のようなものでした。

資産 負債と資本
金準備 200 銀行券発行 100
貸付金と債券 900 預金 900
自己資本 100
総資産 1100 負債・資本 1100

発行された通貨は、銀行券(紙幣)100と、預金900で、1100です。預金は、預金者にとっては、「銀行券の請求権という資産」です。銀行にとっては「銀行券の引き渡し義務という負債」です。金は20%や10%しかない。このB/Sは、決して公開しない

預金は、銀行がネットワーク化された銀行システムになっていくと、「信用創造の中心」になっていきます。この信用はクレジット(Credit)であり、クレジットは、借金(負債)という意味です。信用創造とは、銀行にとっては、負債の創造です。これが、借り手の預金です。

正統派経済学が目を背ける銀行システムの秘密

信用創造とは、資産ではなく、預金者への負債を作ることです。紙幣ではなく負債ですから、銀行信用によって創造ができます。

こここそが「真実を隠す、または真実からたくみに逃れるために、それが暴露されないよう、わざと複雑になっている分野」とガルブレイスが呼んだところでしょう。

正統派の経済学では、通貨創造の研究が欠落しています。これは、当方の著書『国家破産』や『マネーの正体』、および近刊の『膨張する金融資産のパラドックス』を書くときも、ずっと感じていたことです。

調べても、通貨創造そのものを書いた、信頼に足る本がない。通貨は、経済的な取引の中心にあるものですが、そのメカニズムや理論が正統派の経済学にはないのです。

このため多くの人が「マネーはどこから来て、どこへ行くのか」を知らず、論じることもできない。金融学は難しい「専門的な分野」とされています。

マクロ経済学の標準的な教科書では、通貨創造の論点が欠落しています。後述する、銀行システムの中での貸付金と預金の乗数効果が、その代わりに置かれているのです。

民間の銀行システムから、17世紀末のイングランド銀行のように、国家(政府)と連携して、紙幣の発行権を取り上げたのが、中央銀行です。
(注)中央銀行という制度は、財政が赤字になることが多い政府にとっては必要ですが、国民にとっては、なくても困らないものです

米国の異端の議員(共和党所属)、1988年に大統領出馬候補にもなったロン・ポールは、国家財政の赤字から結局は過剰なマネーの発行を行い、マネーの価値を下げて、国民経済に有害なFRBの廃止を主張しています。前職は医師ですから科学者です。国家の規制からの自由を唱えるリバタリアンとされます。

Next: 詐欺か否か?初期銀行の信用創造とニクソン大統領による金交換停止

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