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スタジオジブリの女性化と非日本化=佐藤健志

1)スタジオジブリが女性原作をどんどん取り上げるようになるのは、1990年代以後の現象である。

1980年代につくられた4本のうち、原作があるのは『火垂るの墓』と『魔女の宅急便』の2本。男性原作と女性原作が1本ずつとなっているので、とくに女性優位とは言えません。まあ原作者の数では、男性1人にたいして女性2人ですけどね。

これが1990年代になると、原作もの4本のうち、3本が女性原作で、男性原作は1本のみ。2000年代以後は、原作もの6本(※)のうち、なんと5本半が女性原作です。
(※)2013年の『かぐや姫の物語』は、原作者不詳につき含めていません。以下同様。

2)しかも2000年代半ばあたりから、外国人女性の原作が主流となる。

2004年の『ハウルの動く城』以前、スタジオジブリ作品で外国人の原作に基づいたものはありません。けれども次の10年間を見ると、原作もの5本のうち、4本までが外国人女性原作。アーシュラ・K・ル=グィン以外の3人が、そろってイギリス人なのも注目されますが、この点は脇に置きましょう。

すなわち原作者の性別および国籍から判断するかぎり、スタジオジブリ作品には1990年代に「女性化」が生じ、それが2000年代半ばから「外国人女性化」(=非日本化)に発展したと言わねばなりません。過去25年間の日本社会の変化に照らしたとき、ここには非常に意味深長なものがあるのではないでしょうか?

ちなみに。この9月に公開されるスタジオジブリの最新作『レッドタートル ある島の物語』の監督は、オランダ出身のマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット。女性でこそありませんが、非日本化が起きています。

ついでに『レッドタートル』、ジブリが製作に加わっているものの、プリマ・リネア・プロダクションズという海外スタジオの制作ですので、今までの自社制作作品とは大きく異なります。ジブリ自体の制作部門は2014年に解体されていますし、その後、復活したという話も聞きません。これもまた意味深長ではないでしょうか?

ではでは♪

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