この点についての分析は「少女と戦後の精神構造」をご覧いただきたいのですが、面白くなったので、2014年までにスタジオジブリが発表した長編アニメ全作について、原作者をリストアップしてみました。どうぞ。
1986年:天空の城ラピュタ(オリジナル)
1988年:火垂るの墓 野坂昭如
:となりのトトロ(オリジナル)
1989年:魔女の宅急便 角野栄子・林明子
1991年:おもひでぽろぽろ 岡本螢・刀根夕子
1992年:紅の豚(オリジナル)
1993年:海がきこえる 氷室冴子
1994年:平成狸合戦ぽんぽこ(オリジナル)
1995年:耳をすませば 柊あおい
1997年:もののけ姫(オリジナル)
1999年:ホーホケキョ となりの山田くん いしいひさいち
2001年:千と千尋の神隠し(オリジナル)
2002年:猫の恩返し 柊あおい
2004年:ハウルの動く城 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
2006年:ゲド戦記 アーシュラ・K・ル=グィン
2008年:崖の上のポニョ(オリジナル)
2010年:借りぐらしのアリエッティ メアリー・ノートン
2011年:コクリコ坂から 佐山哲郎・高橋千鶴
2013年:風立ちぬ(オリジナル)
:かぐや姫の物語 原作者不詳
2014年:思い出のマーニー ジョーン・G・ロビンソン
(※)『風の谷のナウシカ』(1984年)は、しばしばジブリ作品として扱われますが、厳密には同スタジオ設立以前、トップクラフトというスタジオでつくられた作品です。
全21作のうち、オリジナルが8本。原作(『竹取物語』)があるにはあるが、誰が書いたか分からないのが1本。で、残り12本について、原作者の性別を見ると…女性の原作に基づいたものが9本半!「半」というのは、2011年の『コクリコ坂から』の原作が、佐山哲郎さんと高橋千鶴さんの男女共作になっているからです。
ひきかえ男性原作は、わずか2本半にすぎません。1988年の『火垂るの墓』と、1999年の『ホーホケキョ となりの山田くん』、そして『コクリコ坂から』の半分。原作者の数にいたっては、男性3人にたいして女性11人です。どう考えても、完全なる紅組優位ではありませんか。
しかるに。このリストからは、二つの興味深い傾向が見て取れます。
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