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米大統領選に固唾を呑む市場。ヒラリーでもトランプでも株高・ドル高は続く=矢口新

株価続落からの反発

先週の木曜日まで、S&P500株指数は8日間続落し、2008年10月上旬以来のこととなった。つまり、リーマンショック後と同じくらい嫌気された。S&P500株指数は金曜日も下げて、9日続落となり、1980年以降で最長の連続安となった。おかげで、円も買われた。

しかし、コーミーFBI長官発言で、週明けになっての円は売り戻されている。

通常、大統領選の前週には、株式市場は上昇する。1928年以降の、すべての大統領選前週を平均すると、S&P500株指数は1.8%上昇していた。今回の下げ幅は約3%だが、この続落で株価は「トランプ氏勝利」を織り込んだとの見方もある。週明けには買い戻しが入ったが、暴言王のトランプ氏はリスク要因なのだ。

大統領選挙に合わせて議会選挙も行われる予定で、上院では100議席のうち34議席が、下院では435議席すべてが改選となる。改選前の上院は共和党54議席、民主党44議席、無所属が2議席となっている。下院は共和党246議席、民主党188議席、欠員が1だ。

金融界にとっては、共和党が上院と下院の両方で引き続き過半数を維持することがプラスとなる。上院では民主党が改選分で4議席増やすと過半数に達するが、過半数を得ると、エリザベス・ウォレン上院議員のような反銀行強硬派が、銀行や、ヘッジファンド、ファンドマネージャーに対する規制を強化する恐れがあるからだ。

どちらが勝つにせよ、僅差が予想され、市場は来年3月に期限が切れる債務上限の引き上げ措置を懸念している。米国は政府債務の上限を議会が定めているが、2年前には債務上限の引き上げを巡ってオバマ政権と議会が紛糾、デフォルトを回避するため2017年3月までの暫定措置として債務の引き上げにこぎ着けた経緯がある。

従って、来年3月には上限問題が再燃することになるが、妥協が図られる保証はない。

直近の調査では上院は46対46と均衡している。一方の下院は共和党が優勢なものの、トランプ氏の影響で議席を減らす見通しだ。

議会をコントロールするのが共和党で、政府が民主党になると、ねじれ現象となり、法案が通りにくくなる。一方で、政府が共和党でも、共和党議会には反トランプ氏派が多く、やはり法案が通りにくくなると考えられている。

民主党が下院をコントロールする見通しは少ない。いずれにせよ、政府と議会は緊張関係を深めると思われる。一方、それを好感する声も多い。

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