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怪物トランプのトンデモ政策を「絶好の投資チャンス」にする考え方=斎藤満

トランプの「ドル高容認」は長く続かない可能性

そうなると、トランプ氏が掲げる「雇用創出」も難しくなります。前任のオバマ政権では、2期目の4年間で1千万人以上の雇用を拡大しています。年間平均250万人以上です。これを上回るのは容易でなく、最近のように月に15万から17万人の増加では年間200万人にも届かず、ドル高、金利高、海外景気悪化が米国を冷やすと、これさえも困難になります。

就任1年で早くも「チェンジ」の期待を裏切ったオバマ大統領と同様に、雇用創出の公約が果たせないまま景気悪化が出てくると、トランプ大統領への評価も厳しくなります。そこまでくると、いよいよドル高の容認も限界となり、政治的に働きかけて第2のプラザ合意がなされ、ドルの大幅切り下げが誘導される可能性があります。その前にドルは売らねばなりません。

ボラタイルな値動きを逆手に取れ

資源国は原油などの価格上昇で一息入れていますが、原油減産の合意は、ロシアによるトランプ氏への「ご祝儀」としてまとめられ、原油相場を押し上げた面があります。原油の減産自体が実施されるか怪しく、しかもトランプ氏が原油増産に向けて規制緩和を予定し、シェールやアラスカ原油の増産も予想されます。

これらは原油相場を冷やすので、資源国も不安定になります。

また、米ロの蜜月についても、新政権幹部の中にはロシアのサイバー攻撃やクリミア併合を批判する者もあり、また中東問題で、ロシアはイランを仲間として親密に付き合う反面、トランプ政権はイランの核開発を認めません。

このイランの扱いなどから米ロの蜜月が崩れる懸念や、米中の緊張が高まり、南シナ海で紛争が勃発するリスクもあります。

非常識でとんでもないことをしでかす可能性があるトランプ政権だけに、上に紹介した事例だけでも市場のボラティリティは高まり、上にも下にも大きく相場が動く可能性を秘めています。

これ以外にもトランプ次期政権の無理・矛盾は数多くあります。市場関係者にとって、今年は大きな投資チャンスになるかもしれません。
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・トランプ政策の矛盾にマーケット・チャンス(1/16最新号)
・日銀の自信と背中合わせの危機リスク(1/13)
・新年の中国リスク(1/11)
・2017年の日本経済、ここに注目(1/6)
・2017年の世界経済予想(1/4)


※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2017年1月16日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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マンさんの経済あらかると』(2017年1月16日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。

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