どこまでがパワハラなのか?
社員や部下を指導する際に「どこまでがパワハラか?」というテーマは、結構、興味を持っておられる経営者が多いので、経営者と話すには格好のテーマです。
悪質ないじめや人格否定はもってのほかですが、社員のことを想うがあまりに熱心な指導や指示をした際に社員側が「パワハラ」だと認識することもありえますし、熱心な指導や指示が原因だとして精神疾患を訴える社員が出ることも想定できます。
この場合、大きなポイントとして
- 社員の人格を否定するような言動があったかどうか?
- 社員の精神的苦痛はあっても、業務遂行上妥当な指示・指導であったかどうか?
などが挙げられます。
昔は、仕事ができないことに対して執拗に叱責され、全人格を否定される指導を受けてきた私にとっては、非常によくわかるポイントです(笑)。「罪を憎んで人を憎まず」ではないですが、ミスを叱責しても、人格まで否定しないということが重要なポイントになります。
あと、いわゆる「窓際族的な扱い」として他の社員から隔離をしたり、過小な業務だけをさせることもパワハラとして認められるリスクがあります。これも先ほどのポイントと同じで、
- 社員の人格を否定するような言動があったかどうか?
- 社員の精神的苦痛はあっても、業務遂行上妥当な指示・指導であったかどうか?
がポイントとなりますので、このあたりを外していなければ、パワハラだと言われても事業主側が負けない可能性は十分にあります。
ただ注意しないといけないのは、能力以上の過大な業務を依頼して負荷をかけることは「業務遂行上妥当な指示」であったとしても、事業主側が負けてしまう可能性は十分にある点です。
特に人手が足りない中小零細企業の場合、過大な業務量により負荷がかかり過ぎると、残業代や長時間労働の問題が発生し、パワハラだけでは収まらないトラブルに発展する可能性がありますので、この点は非常に注意が必要です。