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森友学園報道に「温度差」新聞各紙は何を暴き何を隠しているか?=内田誠

【読売新聞】安倍答弁の核心部分をスルー、メディアとして相応しくない態度

【読売】はまず3面の社説(2本目)で扱い、4面で国会での野党の追及を記事にしている。見出しから。

3面

  • 適正な国有地売却だったのか(社説)

4面

  • 野党、「森友学園」で攻勢
  • 教育方針絡め首相追及

uttii(内田誠)の眼

社説は、この問題の第一歩である、国有財産の不当に低い価額での売却という事実について、はたして見積もられたゴミ撤去費用に見合う実際の撤去処分が行われたのかどうかと、素直に疑問を呈している。手続き上の異例の措置のいくつかも書き込まれている。

また、安倍昭恵氏の名誉校長就任の件でも、「脇の甘さ」の指摘程度ではあるが、苦言を呈している。総理を含め、「疑惑を招かない細心の注意が必要」と窘めるような口調になっている。

さすがに《読売》でさえ、この事件の基本構図基本的な問題を無視したり否定したりできなかったようだ。

4面記事は、この問題の最新の論点である「埋め戻し」についても触れている。森友学園が掘り起こしたゴミについて地下に「仮置き」していると言い訳している点は、次への展開上重要なポイントになると思われる。「埋め戻し」なら不法投棄そのものだ。

《読売》らしさは、最後の部分によく表れている。野党が学園の教育方針も問題視しているとして、《朝日》も引用していた国会でのやりとりを再現しているのだが、《読売》の場合は、安倍氏の答弁の最も大事な部分をスルーしてしまった。

例の、運動会での選手宣誓で園児が「安倍総理がんばれ」と言わされている点について、安倍氏が「私は適切でないと思う」と答弁しているのに、その部分をカットして、代わりに「大阪府が判断することだ」という発言に差し替えている。支持基盤の保守層にしてみれば、できれば「聞きたくない」コメントだと、優しい《読売》は判断したのだろうか。

さらに、学園の幼稚園で、教育勅語を取り上げていることについて、「野党は、同学園と保守色の強い首相を結びつけることで政権のイメージを落とそうとしている」と書いているのも、《読売》らしい逃げ方、問題の逸らし方に思える。日本国憲法の制定とともに戦後日本の出発点に位置する「教育勅語の否定」という歴史的な出来事を、政党間の勢力争いという次元に貶めるのは、メディアとして相応しい態度とは思えない

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