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ドル円100円も見えてきた。日経平均と為替、3月の展望は=江守哲

ドル安の流れは避けられない

トランプ政権が掲げる減税インフラ投資という政策は財政悪化を招きますので、本来はドル安になります。さらに、政権自体が明確なドル安政策を取っていますので、当然のことですが、ドルは下げていきました。

今の円高もその流れの一環ですので、これはもう避けられないことであるといえます。麻生財務相がドル円に関して最近は口ごもるのも、米国からの強い圧力があるからです。

過去に円高になったとに、市場の動きをけん制したこともありましたが、いまは日本が勝手に介入することも、まして市場にけん制的な発言をすることもできなくなっています。

このように、いまは米国の意向で、円高になるのは必然なのです。したがって、理論値の112円から乖離してもおかしくないわけです。

ちなみに、上記の民主党政権時のドル円の理論値は94.65円でした。それが75円台まで下げているのですから、それだけ政治ファクターが効いていたことになります。理論値から20円近くも下げるのは行き過ぎとしても、15円程度であればあり得るということです。

そう考えると、いまのドル円が100円まで下げても、全くおかしくないともいえます。

拡大解釈されている黒田発言

さて、黒田総裁への恨み節が聞こえてきそうな市場ですが、その黒田発言をかなり拡大解釈をして扱った可能性が指摘されています。

衆院は2日に行った議院運営委員会で、政府が日銀総裁として再任を提示した黒田東彦氏から所信を聴取しました。黒田総裁は「強力な金融緩和を粘り強く続けていくことで2%の物価目標を実現できる」とし、「デフレからの完全脱却に向けて、総仕上げを果たすべく全力で取り組む覚悟だ」としました。その後の質疑では、就任後5年間の大規模緩和について、「もはやデフレでない状況ははっきりしている」と効果に言及しました。

ただし、物価目標の実現は程遠いことから、「必要があればさらなる緩和も検討する」とし、一段の緩和強化も排除せず政策運営を進める考えを示しました。

とはいえ、超低金利の長期化で銀行の利ざや縮小や収益悪化など副作用も目立っており、いまの政策には批判的な声も多く聞かれます。黒田総裁も「地域金融機関の収益力に影響が出てきているのは事実」と認めています。

しかし、黒田総裁は金融政策を正常化する「出口論」に関して「直ちに議論するのは適切ではない」とし、政策見直しには慎重な姿勢を崩しませんでした。

2期目を迎える黒田総裁にとって、2%の物価目標の達成が最優先の課題になります。黒田総裁は所信聴取で「物価目標達成への総仕上げとの思いで再任を引き受けた」としています。黒田総裁は13年の就任当初に、2%の物価目標は2年程度で達成できると主張しました。しかし、物価の低迷が続き、実現時期は6度も先送りされています。現時点で日銀は「19年度ごろ」の目標達成を見込んでおり、当面は大規模な金融緩和を続ける方針です。

マイナス金利政策など長引く低金利の副作用は膨らんでいますが、緩和の出口が遠のくようだと、金融機関の収益悪化がさらに深刻になる恐れがあり、これまで以上に難しい政策運営を迫られるでしょう。

Next: 「円安になって欲しい」という無理な期待は持たないこと

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