現状と目指すべき道がわかる「ジョブ・マトリクス」
キャッシュフロー・クワドラントとは、その名の通り「キャッシュフロー(自らにもたらされるお金)の流れを区分けしたもの」です。
これによって、ご自身の現状把握と、目指す方向性を確認することができます。しかし、なかなか1回では理解できない内容ですので、おいおい理解していただくとして、今回はもう少し身近な話題をご提供しようと思います。
現在、多くの方が差し当たり困っているのは、仕事に関することではないでしょうか。たとえば「仕事がうまくいかない」「評価されない」「上司や同僚に理解されない」…といったようなことです。
そこで今回は、これをお読みのあなたに「ジョブ・マトリクス」をご紹介したいと思います。
ジョブ・マトリクスは私が普段、仕事をする際に活用している完全オリジナルの思考法です。仕事をしている際には、常にこれが頭の中で発動しています。ですからあなたにも、きっと何かしらお役に立つことがあるのではないかと考えた次第です。
1. 「サラリーマンが面白くない」本当の理由
これからお話するジョブ・マトリクスは、私が考えたオリジナルです。組織づくりに関しても、クワドラントのような指標があればいいのですが、なかったので自分でつくりました。個人のキャリア戦略を考える際にも、十分に使えます。
今回の特集の目的は「自分の役に立つ指標を見つけ、それを活用しよう」ということです。これを機会にあなたもぜひ、考えてみていただければと思います。
【私たちは企業から「アメとムチ」の扱いを受けている】
通常、企業とは組織で成り立っています。現在の組織にはさまざまな形があるとはいえ、仕事をする以上、必ず他人との関わり方や、自らの役割を考えないわけにはいかないでしょう。特に昨今は、仕事における組織の力がますます重要視されるようになっています。
中でもサラリーマンは、企業に所属し、組織で仕事を動かしている典型的な存在です。組織で行動するメリットはたくさんありますが、その一方でデメリットもあります。たとえば「自分は歯車の1つ」だと感じること。「仕事がつまらない」「自分の本領を発揮できない」「認めてもらえない」…このように感じながらも、生活のために嫌々、今の仕事を続けている人が多いのではないでしょうか。
よくよく考えてみると、私たちは普段、消費者としては、これ以上ないくらいに欲しいものが何でも手に入る世の中を生きています。なのに仕事に関しては、自分のやりたい業務を選ぶこともできずに、あたかも無味乾燥な日常を強要されているかのようです。このように私たちは普段、企業からまるで正反対の扱いを受けています。
なぜ、私たちは企業から“アメとムチの扱い”を受けているのでしょうか?
それは、消費者としてのあなたは「お金を払って」楽しい思いを買っているからであり、会社員としてのあなたは「お金をもらう」ために企業で働いているからです。つまり、どちらも同じあなたとはいえ、役回りが180度違います。
本来、企業とは、私たちをすり減らすために存在しているわけではありません。仕事をつくり、私たちの生活を豊かにするためにこそ存在しています。要は企業とは人間のために存在しており、つくったのも人間です。ただ、私たちの心の中で「お金をもらう時」と「払う時」の違いが明確に区別できていないのです。
簡単に言ってしまうと、消費者の時は「あなたが企業の顧客になっている」のであり、会社員の時は「企業があなたの顧客になっている」わけです。よって、あなたがお金をもらう立場の時は、企業が用意した仕事を断ることはできません。断れば、企業は他の人に頼むこととなり、あなたはお払い箱になるでしょう。
しかし実はここに、仕事に対する見方を変える重要なヒントが隠されています。
仕事とは「相手(会社)からお金をもらうためにする」行為ですから、相手を満足させる必要があります。このように書くと、多くの人は「自分が相手を満足させないといけないなんて、そんなのつまらない」と思うかもしれません。けれど、それは思い過ごしです。
あなたにも、過去に誰かから「ありがとう」と言われて、嬉しくなった経験はありませんか?