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IPO大豊作はバブルの兆候か。HEROZの初値新記録が意味するもの=矢口新

今年のIPOは盛況だ。先日のHEROZまでで21社が新たに上場し、初値が公開価格を上回ったのは19社、うち15社が2倍以上になった。バブルの兆候かもしれない。(『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』矢口新)

※本記事は、矢口新氏のメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』2018年4月25日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

HEROZの初値は公開価格の10.9倍! このIPOブームは続くのか?

スタートアップ企業のIPOが盛況

日経新聞の記事、『IPO異例の人気 HEROZ初値は公開価格の10.9倍』に注目したい。これはバブルの兆候と言えるかもしれない。

東京株式市場でスタートアップ企業の新規株式公開(IPO)が異例の盛り上がりをみせている。人工知能(AI)開発を手掛けるHEROZ(ヒーローズ)は東証マザーズへの上場3日目となる24日、公開価格(4,500円)の10.9倍にあたる4万9,000円の初値を付けた。

野村証券によると、公開価格に比べた初値の上昇率としては1995年以降のIPOで最大。日本でスタートアップブームが起きた2006年頃や、IT(情報技術)バブルに沸いた2000年前後の記録を超えたことになる。

今年のIPOはHEROZまでで21社。初値が公開価格を上回ったのは19社、そのうち15社が2倍以上になっている。

2月以降、米長期金利の上昇や米中貿易摩擦などを背景に東証1部の主力株が軟調に推移するなか、海外情勢の影響を受けにくく業績の成長が見込める中小型株に投資家の関心が向かっている面がある。

HEROZはスマートフォン向け将棋ゲームアプリ『将棋ウォーズ』で知られ、同アプリの会員数は420万人を超える。将棋で培ったAI技術を建設業界や金融業界にも提供している。AI事業の将来性に期待した個人投資家などの人気を集めた。

上場した20日と23日は買い注文が売り注文を大きく上回る状況が続き、売買が成立しなかった。24日終値(4万2,000円)で計算した時価総額は1400億円でマザーズ市場の6位だ。

出典:IPO異例の人気 HEROZ初値は公開価格の10.9倍 – 日本経済新聞(2018年4月24日配信)

バブルの兆候か

繰り返すが、「公開価格に比べた初値の上昇率としては1995年以降のIPOで最大。日本でスタートアップブームが起きた2006年頃や、ITバブルに沸いた2000年前後の記録を超えた」ことから、バブルの兆候だと言えるかもしれない。

HEROZ<4382> 15分足(SBI証券提供)

HEROZ<4382> 15分足(SBI証券提供)

2000年前後のITバブルも、米国サブプライムバブルで(リーマンなど)金融機関が絶好調だった2006年頃のバブルも、結局は崩壊した。

今回のブームも、根っこにあるのは世界的な金融緩和が続いて来たことによる「カネ余り」だと言っていい。

投資・投機に回せる原資がふんだんにあるので、面白い話には、巨額な資金が集まるのだ。

Next: IPOブームの将来性は本物か? 投資家の選択肢は2つある

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