2. ジョブ・マトリクス活用法
ここまで、ジョブ・マトリクスの概略についてお伝えしました。続いて、どうすればこのマトリクスを活かせるのか、ということをお話した上で、実際の事例を見てみることにしたいと思います。
【「組織の総合得点を上げる」ことがゴール】
ジョブ・マトリクスの4マスの意味が理解できましたでしょうか? このマトリクスはもともと、商売をする際に必要とされる業務を4つに区分けしたものです。この中には「商品の開発・製造」の名前がありませんが、たとえばメーカーにお勤めの場合、製造に関わっている技術者は右上の「スペシャリスト」に、商品企画に関わっている方は左上の「プロデューサー」に、営業部隊に属する方は右下の「マーケッター、セールスマン」というように分類されます。
実際の組織は、成長や衰退に応じてこのマトリクスのパワーバランスが常に動いています。この図はあくまでも「適材適所を目指す際の指標とすべきもの」ということです。事業規模の大小を問わず、どの役割を内部で行い、どの役割を外部に託すのかを考えることが重要です。特にサラリーマンから独立する際に「どのマトリクスの領域も、自分が全部こなさないといけない」と誤解される方がいますが、1人だからこそ外注を活用しなければいけません。
それでは、このジョブ・マトリクスの使い方についてお話したいと思います。まずはこのマトリクスを今、あなたが所属している組織に当てはめてみます。当てはめた結果、「どこが手薄なのか?」を見極めます。
<◎あなたが現在、マネジャーである場合>
組織を俯瞰し、手薄となっているポジションをどうやって埋めるのかを考えます。「他から人材を引っ張ってくるのか?」「人事に増員を依頼するのか?」「他のポジションの人に兼務させるのか?」等々。
<◎あなたが現在、マネジャーではない場合>
まずは社内や部署内で手薄となっているポジションを認識しておきます。仮に「自分はそのポジションに向いている」と考えるのであれば、そこへ行くための前準備をしたり、自分からアピールすることも可能です。もしくは、今のポジションをやりながら、できる範囲で手薄のポジションをフォローする、といった行動を取ってみるのもいいでしょう。
このように、「組織の総合得点を上げていくために、今いる人材をこのマトリクス内でどのように配置すればいいか?」「組織の脆弱な部分をどうやってカバーするか?」と考えることが、マトリクスの基本的な使い方になります。