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トランプが北朝鮮を黙らせたのは、イランに戦争を吹っかけるための布石にすぎない=高島康司

加速する戦闘準備

また、レバノン上空では、アメリカ軍にエスコートされたイスラエル軍機によるシリアの偵察飛行が増加している。これは、イスラエルによるシリアの大規模な攻撃が近い可能性を示唆している。

そして、イスラエル軍が偵察しているレバノンの同じ空域では、ロシア軍の戦闘機がイスラエル軍機を牽制するかのようにジグザグに飛行しているのが記録されている。また、イスラエル軍のF15戦闘機に給油するための空中給油機も待機していることが確認された。

さらに、シリア南部のシリア領で、イスラエルが実行支配しているゴラン高原では、イスラエル軍の予備役召集が開始された。この命令はいまのところゴラン高原だけだが、イスラエル全土に拡大される可能性もある。

また、ゴラン高原の防空シェルターにいつでも住民が避難できるように、シェルターの扉の開放が指示された。そして、シリアと国境を接するイスラエル北部のすべての病院には、戦争警戒体制でもっとも水準の高い「レベルC」が発動された。

これらの動きは、イスラエルがイランによる報復を想定し、それに準備していることを示している。またイスラエルは、シリアではなく先頃選挙で圧勝したヒズボラが支配するレバノンを先に攻撃し、レバノンのヒズボラの拠点の壊滅を狙う可能性も指摘されている。

そして5月9日、シリア領でイスラエルが実行支配しているゴラン高原に、シリア側のイラン系武装勢力の基地から、20発のミサイルが打ち込まれた。イスラエルがこれに報復したものの、どちらの攻撃でも死傷者はいなかった模様だ。このためもあってか、戦闘は限定的なものに止まり、拡大する気配はいまのところないようだ。

4月13日時点よりも危険

このような状況は4月13日に行われたアメリカ、フランス、イギリスによるシリア攻撃のときよりももっと悪い状況ではないかとする見方も多い。

それというのも、4月13日の攻撃では、事前にロシアはアメリカに、シリア領内で攻撃してはならないロシア軍の軍事施設を事前に通知し、アメリカ軍がこれを攻撃しない限り自制する構えであった。

それに対し、イスラエルが主導する今回の攻撃では、そうした事前の取り決めがないので、ロシア軍が活発に動いていることである。最悪な状況では、ロシア軍機とイスラエル軍機、またはアメリカ軍機がシリアの空域で戦闘状態になる可能性もある。

いずれかの軍に死者が出た場合、これがもっと大きな戦争の引き金になる可能性は否定できない状況になるかもしれない。

Next: 所在非公開のアメリカ軍「4万名」がシリア周辺に配備されている?

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