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債券ファンド大手ピムコが警鐘「3年後に米経済はリセッション入り」の現実味=矢口新

次の景気後退局面は危ない

では、3~5年後にはどうなるか?

  1. ノーマルを超えるレベルまで政策金利が高くなっている可能性が高い
  2. バランスシートは、対インフレ率での自然増レベルにまで縮小する可能性が高い
  3. 財政収支の改善なしには、これ以上の刺激策が取れなくなる可能性がある

ここに景気拡大のサイクルを加味すれば、ピムコの見方に無理がないことが分かる。

この見方が外れるとすれば、3~5年後ではなく、3年以前にリセッション入りする方向だと見ていていい。また、こうした環境で迎えるリセッションは「危険度が高くなる可能性」を否定できない。

大型ファンドにある足枷

ファンドには長期投資を専門とするミューチュアルファンドと、短中期投資のヘッジファンドとがある。ピムコは前者で、しかも大型だ。

このことがわかれば、「押し目買い」の意味が正しく理解できる。

ヘッジファンドの名前の由来は、現物保有資産を先物売りでヘッジする「売りヘッジ」だ。つまり、上がると見なせば買い、下がると見なせば売れる。成否を決めるのは、売買のタイミングだ。

高値から下げている時に行う「押し目買い」は、利益確定、あるいは利益確定後の新規買いでない限り、利が乗ったポジションを膨らませる「買い乗せ」か、損失ポジションのコストを引き下げる「ナンピン買い」となる。

これは、より多くのリスクを取ることを意味するので、新規買いに増して特にタイミングが命だ。そうしたタイミングを計るのに、3~5年の見通しを用いるのは、的外れだと言える。

「買い乗せ」や「ナンピン買い」は、買った直後からでも下げ続ければ、命取りになりかねないからだ。

一方、資産を長期にわたって保有し、空売りを行わない長期投資には、そこまでのタイミングは必要ない。加えて、ファンドに資金が入り続けていれば、タイミングなどは言っていられず、何らかの形で買い続ける必要があるし、資金の純減が続いていれば、見通しとは関係なしに売らねばならない。

また、ピムコのように大型になると、一気に動けば自らの行動で高値掴み、安値売りとなるので、少しずつ買い進めたり、売り続けることになる。

その基本的な手法が、「押し目買い」と「戻り売り」だ。人が売っている時にしか、十分な量が買えず、人が買っている時にしか、必要量が売れないのだ。

Next: 社債やユーロ周辺国を中心に、今後は「戻り売り」が機能する展開へ

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