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日本は「現金払い」の呪縛から逃れられないのか? 地方で芽生えた消費者の変化=岩田昭男

ケース3:金沢市のゴールドラッシュ

2017年に金沢に呼ばれたのもその1つでした。北陸地方は現金主義が根強くてカードの話など全然ムリと言われていましたから、最初に話があった時は「なぜここなのか」と不思議でした。

ちょうど北陸新幹線が開通したあとで、東京−金沢間も2時間56分で結ばれて通勤圏内にも入るかというほどに近くなりました。

私もその新幹線に乗って金沢に入りました。会場に到着すると、ホールは熱気でムンムンとしていました。商店主や役人でいっぱいでした。

熱い期待が渦巻いているのがわかりました。そして電子マネーの専門家である私の話を聞き漏らすまいと、耳をそばだてているのがよくわかりました。最初はなんでこんなに入れ込んでいるのか分かりませんでしたが、話をしているうちにだんだんとわかってきました。

開通したばかりの北陸新幹線が関係していたのです。金沢は鉄道エリアとしてはJR西日本の管轄であって、交通系電子マネーでいうとICOCAの守備範囲です。

しかし、ICOCAはあまり普及していないので、京阪神の人が観光に来てもそれほど多くは使われませんでした。そのため金沢市民はどちらかというと電子マネーに疎くて無頓着だったのです。

「東京から来る客はみんなSuicaをもっている」と見抜いた金沢市民

ところが東京方面からやってくる新しい観光客は、大抵SuicaやPASMOを持っていて、いろいろな店で必ず「これで支払いができるか」と聞いてきます

金沢の人はSuicaがそこまで普及しているとは知らなかったので、とても驚いたようです。とにかく店も市民もSuicaに対応しないといけないし、よく知らなければならないと思うようになり、電子マネーとくにSuicaに詳しい私が講演会に招かれたのです。

Suicaが使えるか使えないかで売り上げも大きく変わります。まさに死活問題とあって、私の話に皆さんが聞き入り、一所懸命にメモを取ってくれたのです。

その姿を見て、これがキャッシュレス時代の幕開けだと思った次第です。私も講演が終わる頃にはこの事情に気づきましたので、Suicaの利点を若干は短所を含めてですが、たくさん喋りました。それが奏功したのでしょう。講演会は大盛況のうちに終わりました。

これは新幹線が幸運を運んできてくれた珍しい例です。金沢は東京と新幹線でつながったことでキャッシュレスが急速に進んで、皆が大儲けした幸運な町として経済史に残ることでしょう。

Next: キャッシュレスでの嬉しい体験(CX)が、普及率を飛躍的に上げる

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