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その相続税の節税は家族のためになっている?2つの事例から見る決して忘れてはならないポイント

2、相続税を減らすためにアパート経営を始めたケース

相続税を減らすために、アパート経営をする。こういった相続対策を聞かれたことのある方も多いのではないでしょうか。もちろんこれ自体が「悪い」とうことではありません。相続税を減らすひとつの手法として検討の余地は十分にあります。

元々アパートやマンションの経営になれているご家族で、ご自身の相続が起きた後も、その事業を継いでくれる方が決まっているのであれば、特段問題はないでしょう。

しかし、もしアパート経営をはじめるのが相続税が安くなるから、という理由だけなのであれば、少し考えてみてください。

まず、アパートを建てるということは、お金が出ていく、ということです。場合によっては、借入をして建てる場合もあるでしょう。そのことを、しっかり認識されていますか?一度建てた建物は、通常、建てるのにかかったのと同じ金額では売れません。本当に入居者は入りますか?その借金は返していけますか?また、手元の現金が減りますが、相続税の支払いなどは問題ないでしょうか?

また、「アパート経営」というと投資の延長のイメージをされる方もいますが、アパート経営は立派な事業の一つです。例えば入居者に、すこし変わった方が入ったらどうしますか?トラブルが起きた場合は?

経営である以上、リスクはつきものです。そのリスクを、のこされるご家族はご存知でしょうか。そしてそもそも、のこされるご家族は、アパート経営がしたいのでしょうか。

建物を管理していくというのは大変です。管理会社に任せますか?それも一つの方法でしょう。しかしもちろん、管理会社に任せるということは、費用がかかります。そして事業である以上、確定申告も必要です。ご自身でできますか?税理士さんに頼みますか?

そうして毎月、毎年かかっていく費用と、安くなった相続税の金額。結局のところ、どっちが大きいのでしょうか・・?こういった事も踏まえて、「そんなことわかった上で、やりたいんだ」ということであれば、もちろん問題ありません。

問題なのは、こういったことを検討もせず、単に「相続税が安くなるから」という理由だけで安易にアパートを建ててしまう事です。

他にも色々なケースがありますが、今日はその一例をお伝えしました。
その対策はのこされた人にとって、本当に嬉しいのか?むしろ、多少相続税が高くなったとしても、その対策はしないほうが良いのではないか?相続対策を考える際には、そういったことまで踏まえて、ご検討いただきたいと思います。

そして、やりっ放しの対策ではなく、きちんと遺言書まで書いて、不安をのこさないようにして頂きたいと思います。

のこされる人が「やっておいてくれてありがとう」と思える対策。そして想いがきちんと伝わる対策。そういった対策をすることで、相続で困る家族が少しでも減れば、嬉しく思います。

こころをつなぐ、相続のハナシ』2015/9/9号より一部抜粋
※太字はマネーボイス編集部による

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愛知県の行政書士山田和美が、相続・遺言について情報を発信するメールマガジンです。ご家族が亡くなる、ご自身の相続に備えて準備をする。そういった経験は多くの場合、一生に数える程しかありません。だからこそ実際に直面したとき、何から手を付けて良いかわからず戸惑ってしまったり、知らなかったが故に不利益を被ってしまう事が多々あります。このメルマガでは、「相続人って誰のこと?」という基本的な事から、「相続が起きると銀行口座どうなるの?」等のより実務的な疑問まで幅広くお伝えして参ります。

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