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「規制されたい」仮想通貨の矛盾。バブルを煽る者と食い止める者が明確に=矢口新

仮想通貨は中央権力の規制に縛られない理想の通貨システムではなかったか? それがいまや、取扱業者自らが規制を求めて先物市場や証券市場詣でを行っている。(『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』矢口新)

※本記事は、矢口新氏のメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』2018年9月13日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

自由はどこへ…?「安全性」というお墨付きが欲しい仮想通貨たち

仮想通貨を徹底排除する「アメリカ証券取引委員会」

アメリカ証券取引委員会(SEC)は8月下旬、米ETF大手プロシェアーズなどが提案していた9つの仮想通貨ETFの上場申請を却下した。

また、9月9日には、スウェーデンの取引所に上場されているビットコインETNの米国での売買を一時差し止めると発表した。さらに、11日には仮想通貨のヘッジファンドなどに、SECに未登録などとの理由で罰金を科した。
※参考:仮想通貨、米国で逆風 ETFの上場申請却下 – 日本経済新聞(2018年9月12日配信)

SECの立場は明快だ。

ビットコインは多くが、規制されていない海外の交換業者で取引されている。ビットコイン取引高で米国の交換業者が占める割合は約3割にとどまる。

SECは仮想通貨で不正行為が起きた場合に、仮想通貨を裏付けとしたETFの投資家を保護できないと判断した。

規制の目が行き届かない仮想通貨取引

米運用会社ヴァンエックのガボー・ガーバック氏は「投資家は規制されていない場所で取引を強いられている」と、ビットコインETFの必要性を強調する。同社もETF上場を申請しているが、専門家の間ではSECが仮想通貨ETFを承認するのは2019年以降との見方が強い。

米アルストン・アンド・バード弁護士事務所のブレイク・エステス氏は「規制下にある取引所が増えない限り承認は難しい」とみる。

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)と、シカゴ・オプション取引所(CBOE)がビットコイン先物を上場したのは2017年12月。株式や債券のように、仮想通貨でも先物によるリスク回避の手段が提供された

金融業界は仮想通貨事業の拡大に動く。NYSEを傘下に持つ米インターコンチネンタル取引所は11月にもビットコイン先物を開始したい考えだ。米銀大手シティグループが仮想通貨を裏付けとした証券発行を計画しているとの報道もある。

8月には米交換業者ジェミニや日本大手ビットフライヤー米国法人などが参加し、仮想通貨の自主規制団体の設立に向けた作業部会が発足した。

SECも主眼は不正行為の防止策にあり、仮想通貨自体を否定しているわけではない

技術革新と規制のバランスをどう取るか。金融市場の発達した米国でさえ、その解を探しあぐねている。

Next: 自由が美徳だったはずの仮想通貨が、規制を求めるという矛盾…

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