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バフェットは投資先のどこを見る? 潰れる会社の見分け方と避けるべき2つの業種=栫井駿介

資金が尽きる前の会社の行動

やがて資金が尽きてしまったら、その会社は破綻します。破綻を逃れるためには、(1)収入を増やす、(2)支出を減らす、(3)資産を売却して現金化する、(4)お金を借りる、の4つの選択肢しかありません。

(1)は自分の力ではどうしようもない部分があります。それができたらとっくにやっているでしょう。

(2)は簡単に言えばリストラです。人員削減などにより日々発生する費用を削減します。収入が増えなくても、コストの削減で一時的には現金の流出を止めることができるでしょう。その間に収入を増加させる策を練らなければなりません。

(3)の段階に入ると、いよいよ雲行きが怪しくなります。持ち合い株式の売却や、事業の切り売りをすることで、目先の現金確保を急いでいるのです。営業活動によるキャッシュフローが赤字で、投資活動によるキャッシュフローが黒字になっている場合はこのような危険な兆候と言えます。(大塚家具は直近でこの状況に陥っています。)

(4)は、銀行借入や増資により資金を調達することを意味します。銀行との太いパイプがある会社なら、当面の危機は借入金でまかなうことができるでしょう。しかし、経営の雲行きが怪しい場合、銀行もなかなかお金を貸してくれません。

(4)の最終手段となるのが、(主に第三者割当)増資による資金調達です。増資は返さなくていいお金ですが、場合によってはそのまま経営権を握られてしまいます。それだけのリスクを引き受けるお金の出し手は、それ相応のリターンを求めるのです。

これらのいずれの手段も尽きてしまったら、会社は破綻してしまいます。会社を見るうえで、現金の流れは常に意識する必要があります。

危ない業種(1):マンションディベロッパー

キャッシュフロー計算書を見るのはハードルが高いという人は、業種からある程度類推することができます

例えば、マンションディベロッパーは、ある時急激に倒産が増える業種です。リーマン・ショックの前後には、多くの会社が市場から姿を消しました。生き残ったとしても、致命的なダメージを負ってしまった企業がほとんどです。

メカニズムを解説すると、以下のようになります。

不動産市況が好調なときは業績を大きく伸ばしますが、市況が落ち込むと途端にマンションが売れなくなってしまいます。ただ売上高が減少するだけなら救いようがあるのですが、問題はそれだけにとどまりません。

これらの会社は、開発のための資金調達を有利子負債で賄っています。調子がいいときは、借入→物件仕入れ→物件販売→返済の流れができるのですが、物件が売れなくなった途端に有利子負債の返済が滞ってしまいます。

さらに、売れ残った物件は当初想定よりも低価格で売らなければなりませんから、多額の在庫評価損が発生します。これにより自己資本も削られ、債務超過になってしまうこともあります。こうなると、銀行からの資金供給も止まり、破綻に追い込まれてしまうのです。

Next: 倒産しやすい、もうひとつの業種とは…

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