相続放棄した場合も受け取れる、遺族年金と未支給年金
さて、相続放棄を選択しても取得出来る財産の代表格は死亡保険金、そして同じくみなし相続財産である死亡退職金があるわけですが、その他にもいくつか取得出来る財産があります。
それは、“遺族年金”と“未支給年金”。
遺族年金とは、国民年金や厚生年金の被保険者であった方が死亡した際に、その方によって生計を維持されていた遺族が受けることが出来る年金のことを指します。遺族年金は、遺族がその固有の権利に基づいて受給するものであるため、相続財産に含まれることはありません。
従って、相続放棄を選択したケースでも、問題なく遺族年金を受け取ることが出来るというわけです。
ただし、遺族年金を受け取る方の年収によっては受給出来ない可能性があるうえ、未成年者の子供がいるかどうかによっても受給金額が変化しますので、一度、年金事務所に問い合わせてみた方が良いでしょう。
未支給年金とは、聞き慣れない言葉ではあると思いますが、簡単にいうと、年金受給者である死亡した方に対して支給されなかった年金のことを指します。どういうことかというと、年金受給者には偶数月に年金が支払われることになっています。
例えば平成30年1月15日に死亡した年金受給者は、10月分と11月分の年金を12月に受け取ってはいますが、12月分と死亡した1月分の年金については、2月に支給されることになりますので、本人が受け取ることは出来ないですよね。
相続放棄をするならば、もらえる財産の確認も忘れずに
本来もらえるはずであった年金が無駄になることがないよう、年金受給者に対して支給されなかった年金については、遺族に支給されることになっているのです。
未支給年金は、死亡した方の代わりに遺族が受け取ることになるので、相続財産とみなされるのではと思うかもしれませんが、年金法では、“相続に関係なく、独自の立場で未支給年金を支給する。”と定義されており、最高裁判決でも“未支給年金は相続財産ではない”との判決が下されているので、安心して未支給年金を請求ことが出来ます。
さて、相続放棄を選択する方は、“多額の債務を引き継ぐのであれば、いっそのことプラスの財産も手放すしかない”といった判断によって、泣く泣く、財産を手放す方が多いです。
こうなると、自分は一銭の財産も手に入れずに、ただ悲しみに打ちひしがれるだけ、と思いがちですが、相続放棄を選択しても貰える可能性のある財産はこれだけ存在します。
“貰える資格があったのに、その財産の性質を理解していなかったがためにもらわなかった”というのは、非常にもったいないですよね。
相続放棄を選択するのであれば、“相続放棄を選択してももらえる財産”を早急に調べ、損をすることがないようにしましょう。
『FPが教える!相続知識配信メルマガ☆彡.。』(2018年11月7・9・12日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
無料メルマガ好評配信中
FPが教える!相続知識配信メルマガ☆彡.。
[ほぼ 平日刊]
最近なにかと話題になっている相続。実は相続手続きの約9割はご自身で行わなくてはならないのです。そうであるにも関わらず、相続が発生してから急いで手続きに取り掛かる方がほとんど…。また、相続トラブルはごくごく一般的なご家庭ほど発生しやすいのです!うちは資産家でもないから関係ないとは言ってられません。相続手続きに関する記事はもちろん、事前の相続対策についての記事も配信していきます。疑問点やご質問がありましたら、お気軽におっしゃってください。わかりやすく回答させて頂きます!