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勝手に期待したのは投資家。米欧日の中央銀行が追加緩和をしない理由

【欧州ECB】期待されてもドラギは困る、追加緩和の可能性は低い

3月の量的緩和決定以降、ECB発でマーケットが動いたのは5月の国債ボラティリティ容認発言だけでした。ボラティリティ拡大を容認するということは、従来思われていたほど安定的に国債を買い続けない可能性を示唆したのと同じことになるために、5月から6月にかけ欧州国債は売られ、擬似的に「緩和スピードが減速した」ようなことになったのですが、これはすでに収まりました。

9月のECB理事会で、現行の緩和プログラムが終了する来年秋以降も緩和を続ける可能性が高いと言及したことで、マーケットは一時的に追加緩和期待が醸成されましたが、現行緩和額を拡大させるわけではないので追加緩和期待は一時的に終わったかに思えましたが、米国の利上げ先送りに連られて欧州でも追加緩和期待が出てきました。

これに対しドラギECB総裁は、先週末のG20で「必要ならばやるけど、現時点では必要ない」と明言したのに、追加緩和期待は却って大きくなっています。

タイトルだけ見ると追加緩和に積極的に思えますが、必要ならば追加するというのは従来から重ねて発言している内容で新味はありません。一方、新しい内容は「現時点ではその必要はない」と言っていることです。

現行の緩和プログラムが予想よりうまく言っていると発言しているのに、今週のECB理事会で追加緩和を決定するでしょうか?

したがって、私は欧州の追加緩和は当面ないと判断しています。

なまじ期待感で上がり続けていたので、追加緩和がない場合は、一転してネガティブな反応になる可能性も高いので、今週のECB理事会及び理事会終了後のドラギECB総裁会見は非常に重要です。

【日銀】少なくとも10月末の追加緩和はないと考えるのが合理的

さんざん追加緩和期待が出ていましたが、先週の日銀政策決定会合では追加緩和はありませんでしたし、引け後の会見でも早期の緩和の可能性を感じさせる発言は一切ありませんでした。また、先週末のG20でも現時点での追加緩和に対し否定的な見方をしました。

それでも政治サイドからの圧力があるかもと思うかもしれませんが、政治サイドからも否定的な見解が出ています

麻生財務相は、補正予算だけでなく追加緩和についても否定的な見方をしています。彼のキャラを考えると、黒田日銀総裁のように騙すようなことはしないでしょうから、これで月末どころか年内の追加緩和の可能性も大幅に低下したと考えるのが自然だと思います。

これだけ短期間に明確に「今の時点であわてて何かしないといけないわけではない」という文言で追加緩和に対し消極的な見方をした以上、私の従来からの見方どおりに今月末どころか年内の追加緩和の可能性も低いと思われます。

もちろん、マーケットを騙した黒田日銀総裁なので額面どおりに受けとるわけには行きませんが、ここまで何度も繰り返して否定している以上、少なくとも今月末の追加緩和はないとして相場見通しを組むのが最も合理的だと考えています。

以上を整理すると、今週の中央銀行絡みでは、米FOMC関係者による要人発言と欧州ECB定例理事会が最重要になります。

【関連】FRB理事による「利上げ慎重発言」の真意=金融アナリスト・久保田博幸

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元ヘッジファンドE氏の投資情報』(2015年10月19日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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