その国の特殊事情にあった設計ができるかが導入の要
IMFは、CBDCが導入されるか否かは、その国々の特殊事情に合った設計ができるかどうかにかかわってくると言っている。その中でも一番重要なのは、匿名性(取引のトレーサビリティー)、セキュリテイー、取引高と金利が払えるシステムになっているか。現金と預金がどのように支払いに使えるかも重要である。
CBDCは、利益の享受を増やすことができ、取引手数料を減らし、決済システムのリスクを減らし、辺鄙なところに住む人々の助けになるはずである。CBDCの需要が喚起できるかは、その貨幣の形態がどれだけ魅力的であるかにかかってくる。
CBDCの有益性について、結論を出すのは早すぎる
CBDCはシステム障害やサイバー攻撃から守る運営リスクに対しての対策もしっかりしている必要があります。
CBDCは、金融政策の波及速度に大きく影響する可能性は低いが、金融政策の適応のさせ方を考える必要がある。もし、辺鄙な場所に住む人々までをカバーできるCBDCであれば、金融政策の効果はより強くなると考えられる。利付きCBDCは、マイナス金利政策を取ることはできないが、現金の使用を制約することはできる。
このレポートの結論として「CBDCの有益性について確固たる結論を下すのは早すぎる。中央銀行は、それぞれの国の状況を考慮し、リスクとメリットに注意を払う必要がある。技術的実現可能性と運用コストのさらなる分析が必要」と書いてある。デジタル金融取引システムで、セキュリティ対策がでており、トレーサビリティが確保され、世界の3分の1の金融取引が7キロワット(冷蔵庫30台分)で運用できるものの設計が終わり、テスト運転を始めたということをどこの段階でIMFに知らせるかを来年の目標にしたい。
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『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』(2018年12月10日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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