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シラーP/Eレシオが示唆する2016年米国「自社株買いバブル」崩壊=吉田繁治

2016年の米国の株価――自社株買いも永遠には続かない

シラーP/Eレシオの26.1倍が30倍、40倍に上がることは、全く考えることはできません。ITバブルのときのような、ニューエコノミーによる経済成長、大きな拡大という見方は、ないからです。

むしろ米国の将来のGDPは、せいぜい2%、高くても3%しか成長しないということが市場のコンセンサスでしょう。GDPの予想増加が低い場合、米国企業の利益の増加率も低くなります。

ダウやナスダック、あるいはS&P500のような合計された株価指数は、米国のGDPの増加によって上がり、GDPの増加率の低下によって下がります。

(注)個別の企業では、その投資利益率の違いによって株価水準が異なります。投資利益率が高い企業の株価は高くなり、低い企業の株価は下がります。しかし株価指数は企業の合計値ですから、マクロ経済のGDP期待成長に依存するのです。成長ではない、人々が抱く期待成長率です。

シラーP/Eレシオが26倍を超えたのは、

  • 1929年の大恐慌直前
  • 2000年4月にはじけたITバブル
  • 2008年のサブプライムローン・バブル

の時だけです。いずれのときも、市場は「将来の成長を強く楽観」していました。

自社株買いです。2015年はこれが144兆円にもなって史上最高です。

この意味は、1年に144兆円もの自社株買いをしないと、現在の米国の株価は維持できないという、岸壁の上の株価であることです。1000社が自社株買いをした場合、1社平均で1440億円にもなる巨額なのです。

2016年も144兆円以上の、例えば180兆円の自社株買いができるでしょうか。疑問です。ということは、米国株は、FRBの利上げの決定とともに、大きく下落するということです。

利上げは0.25%や0.5%とう小幅なものでしょう。しかし、この小さな利上げは、銀行間のレポ金融のレバレッジには、大きなマイナスを及ぼします。金利が上がれば、社債発行も急減します。

現在の世界の株式市場は、変な値動きをします。

世界2位のGDP(日本の2.5倍)になっている中国の経済成長が大きく減速している。
株価も暴落した
世界経済の成長率は低くなっている
このためFRBは2015年内の利上げをしない
FRBの利上げ延期を予想して株価が上がる

つまり、世界のGDP成長が低くなったから株価が上がる…逆転した動きです。

なぜこんなに逆転した株価の動きになるのか。それは現在の株価が、過剰になった流動性によって押し上げられているからです。このため、引き締めの延期が、株価を押し上げるのです。

注意すべきは2016~2017年です。シラーP/Eレシオで26倍水準の米国の株価は無事にいくでしょうか。過剰流動性相場は、必ずはじけると判断します。

【関連】2016年「アベノミクス官製相場」の仕掛けと対策 問題は7月参院選後=吉田繁治

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ビジネス知識源プレミアム:1ヶ月ビジネス書5冊を超える情報価値をe-Mailで』(2015年10月28日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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