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一時落ち着きを見せたアメリカ市場だが…米中間の通商問題ほか、まだまだ波乱の予感?=馬渕治好

来たる花~今週(1/28~2/1)の世界経済・市場の動きについて

<不透明材料多く、世界市場は上にも下にも振れる恐れ>

今週は材料が極めて多い週です。また、個々の材料に対して、市場がどう反応するかも、読み切れない点があります。このため、思いがけず、世界市場が上にも下にも大きく振れる恐れがあると懸念されます。

米国については、長く続いていた政府閉鎖について、トランプ大統領が民主党の方針に妥協し、一旦政府閉鎖を解除する方針に転じました。

つまり1/24(木)に、議会上院で民主党は、メキシコとの間の壁建設予算を含まない短期間の暫定予算案を提案し、それによって政府機関閉鎖を解除するとともに、暫定予算が有効な間に壁の予算について議論しよう、という構えを見せました。この民主党案は、壁の予算を含む共和党案とともに、上院では一旦否決されました。

しかし、そのように短期的な暫定予算で政府機関閉鎖を回避し、その間に議論を進めよう、という案は、実は昨年上院共和党によって提案されていたものです。つまり、今回の民主党案には、共和党も乗りやすいものだった、と言えます。

トランプ大統領がその方針で良い、と容認したため、2/15(金)までの暫定予算が、まず上院で可決しました。続いて下院でも可決され、政府機関閉鎖は「一旦」解除されました。

この政府機関閉鎖解除決定を受けて(ただし週末1/25(金)の米国市場の引け前に、閉鎖が解除されるだろう、という報道は既に流れてはいました)、今週の市場に明るさがもたらされる展開は否定はできません。ただ、今回の暫定予算が切れる2/15(金)でも、大統領と議会民主党の間に妥協が成立せず、再度政府機関閉鎖に追い込まれるリスクはあり、市場が全面的に楽観に振れるとも見込みにくいです。

1/29(火)~1/30(水)には、FOMC(連邦公開市場委員会)が開催されます。「過ぎし花」で述べたウォール・ストリート・ジャーナルの報道を受けて、連銀が量的緩和の縮小を変更するのかが、注目されるでしょう。市場の波乱要因となる恐れがありますが、この点は、後の「理解の種」で述べます。

米国の主要な経済指標の発表も多いです。具体的には、下記のようなものです(日付は発表日、全て1月分の統計、カッコ内は(12月実績→1月市場予想))。

1/30(水)ADP雇用統計(雇用者数前月比:27.1万人増→18.0万人増)

2/1(金)雇用統計(非農業部門雇用者数前月比:31.2万人増→16.0万人増)

同日 ISM製造業指数(54.1→54.3)

市場が注視している、米中間の通商交渉については、1/30(水)~1/31(木)に、閣僚級の協議がワシントンで行なわれます。この点は、この後の「盛りの花」で述べますが、楽観的な展開も悲観的な展開もありえます。

企業決算は、米国では引き続きかなりの数の企業が発表する予定で、日本でも週半ばから発表社数が増えてきます。

英国ではEU離脱の具体案について、メイ首相による修正案が再度1/30(火)に議会で採決されます。首相は当初案からほとんど修正らしい修正を行なっておらず、否決の可能性が高いと見込まれます。

ただ、前回の否決の際も市場はほとんど無視しましたので、今回も何らの波乱が起きない展開がありそうです。ただ、市場心理が弱気に振れていると、前回から一転して騒ぐことも否定はできません。

Next: 今週特に注目すべき、米中間の通商問題の動きはどうなる?

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