盛りの花~世界経済・市場の注目点
<米中貿易交渉の、楽観シナリオと悲観シナリオ>
「来たる花」で述べたように、米中間の通商問題については、両国の閣僚級会議が、1/30(水)~1/31(木)に、米ワシントンDCで開催されます。楽観的なシナリオも悲観的なシナリオも想定され、予断を許しません。
楽観的な展開としては、中国側は米国からの輸入を増やす項目を数多く挙げる(天然ガス、大豆など)方針ですが、知的所有権侵害や技術移転強要といった問題については、ほとんど何もしない構えです。ただ、米中間の交渉難航観測が米株価の下落となって跳ね返ってくるため、それでよし、という方針に米政権が傾き、中国が実利をとる形で米中の交渉が進むという感触となれば、米株式市場には楽観が広がるでしょう。
筆者は、米国の足元をみた中国側が、このように実質的に勝利するが、トランプ大統領は「私が素晴らしい大統領だから、中国が大いに妥協してきた」と口先ばかりで誇示して終わる、という展開が、最もありそうだと見込んでいます。
ただ、悲観的な展開も否定はできません。
たとえば、今のところトランプ政権内では、対中穏健派である、ムニューシン財務長官やクドローNEC委員長が、主導権を握っているように見受けられます。しかし、強硬派のライトハイザーUSTR(米通商代表部)代表やナバロ国家通商会議議長が巻き返し、知的所有権侵害や技術移転強要の確実な改善を中国側に強く求め、協議が決裂する、ということはありえます。
また、カナダで拘束されている、ファーウェイ社の孟副会長兼最高財務責任者について、米国は身柄の引き渡しを要求するとみられます。その引渡し申請の期限が1/30(水)です。
もし米国の引き渡しの申請が、米中間の閣僚級の会議とぶつかると、中国側が抗議のため、交渉団を引き上げてしまう、という結果になることもありうるでしょう。
このように、今週の米中閣僚級会議を巡っては、どういう展開になり、それが市場にどのような影響を与えるかは、見通しが極めて難しい状況です。
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※本記事は有料メルマガ『馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』2019年1月27日号の一部抜粋です。毎週いち早く馬渕氏の解説をご覧いただくには、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した項目もすぐ読めます。
『馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』(2019年1月27日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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