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本当に米中貿易問題は楽観できる?『ジャパン・アズ・ナンバーワン』著者の盲点=矢口新

知日派として知られるエズラ・ボーゲル氏が米中貿易戦争に対して楽観的な考えを示している。本当に危険は無いのだろうか? その考え方をじっくりと見ていきたい。(『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』矢口新)

※本記事は、矢口新氏のメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』2018年10月29日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

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知日派かつ知中派であるボーゲル氏の見方は?

知日派として知られるエズラ・ボーゲル氏が米中貿易戦争に対して楽観的な考えを示している。日本経済新聞の記事を紹介したい。

1979年の『ジャパン・アズ・ナンバーワン』といった著作により代表的な知日派として知られるボーゲル氏だが、鄧小平の伝記も出版するなど知中派でもある。ボーゲル氏が憂慮するのは、貿易戦争の陰に隠れて目立たない米政権の台湾政策だ。<中略>

米国と中国の貿易戦争について、多くの人が心配するほど危ないとは考えていない。トランプ米大統領は駆け引きを通じてカナダやメキシコを叩き、通商問題を見直した。日本や中国に対しても駆け引きを使う。事態は一層悪化するだろうが、トランプ政権内にも貿易を重視する人がいるため、とことんまでは突き進まないだろう。<中略>

貿易戦争より、台湾についてのほうが危ない。米国は(3月に台湾旅行法を成立させるなど)台湾との間で高官の往来を認めたり、武器の売却を増やしたりしている。現在のやり方は(歴代の政権と比べ)やり過ぎで、トランプ大統領の言い方も危うい。変なことをしていると、中国もおかしなことをするかもしれない。中国からすると台湾の独立は認められない。米国は、台湾について中国と過去に交わした約束を守っていない。

出典:貿易戦争に隠れた火種 エズラ・ボーゲル氏 – 日本経済新聞(2018年10月26日配信)

米国で高まる反中機運

ボーゲル氏はハーバード大名誉教授だが、米中貿易戦争を「危ないとは考えていない」というのは、米国からの見方だ。米国のシナリオ通りに中国が反応している限り、危ないものではないのだ。これには前例があるからだ。同じ記事に以下のような記述がある。

ワシントンでは反中機運が本当に強まっている。中国で外国企業が不公平に扱われていることに対して厳しくなり、米側に有利な方向に持っていこうとする様子は80年代を思い出す。

日本の非関税障壁が80年代前半から問題になっていたが、実際に圧力が強まったのは、日本が本当に実力をつけた80年代後半からだ。

今の中国も同じで、知的財産権の侵害は前から言われていたが、風当たりが強まったのは最近だ。

出典:同上

この記述にある「80年代後半からの実際の圧力」は、関岡英之氏の著書、『拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる(文春新書)』に詳しい。同書の内容をウィキペディアでは、「(駐日米大使館による)『年次改革要望書』をもとにアメリカの日本への内政干渉の実態を検証。また、年次改革要望書に追従する小泉改革の問題点を検証し、小泉純一郎・竹中平蔵が主導した郵政民営化法案もその一環であると主張した」としている。

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