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見えてきたトランプ政権の崩壊シナリオ、米朝再会談の成果をどう演出するか?=江守哲

トランプがさらに自分の権限を増やす法案を提出

ところで、今回の一般教書演説で、トランプ大統領は耳慣れない新法に言及しています。それは「互恵貿易法案」です。これは、約20人の共和党議員が下院に提出した通商関連法案で、関税の決定権をすべて大統領に移管するという強硬策です。

こんなものをさらっと通して、トランプ大統領の好きなようにさせることはできないでしょう。

トランプ大統領は、「米国製品が不公正な関税を課されれば、同率の関税を相手国に課すことができる」としています。この法律を手にすれば、対外交渉でかなり強硬に出ることができます。

特に懸念されるのが、日本や欧州との交渉が残っている「自動車関税問題」です。米国は中国との交渉で忙しく、日欧との交渉には入ることができません。

しかし、いずれこれは開始されます。内政の行き詰まりをポピュリズム的な経済外交で挽回する戦略に走る可能性があります。まさに、トランプ大統領の常套手段です。こうなると、今年もトランプ大統領の発言に振り回されるとの懸念が高まることになります。

しかし、私は大した力はもう残っていないと考えています。米国を牛耳る筋も、そろそろトランプ大統領の後釜を考え始めていることでしょう。

力を失ったトランプ、支持率もガタ落ちに…

このように、中間選挙で下院の議席を失った影響がもろに出てきています。これは、2020年の大統領選に向けて、きわめて懸念される状況といえます。

トランプ政権の根幹である「壁建設」が実行されなければ、トランプ大統領の信任は難しくなります。

トランプ大統領の支持率がガタ落ちです。世論調査では、支持はすでに38%程度です。不支持は58%程度です。さらに、支持基盤である白人労働者層も、支持率が50%で、不支持が48%にまで上昇しています。

いま選挙を行えば、負けるというのはこのようなデータがあるからです。もちろん、そんな単純なものではありませんが、厳しい状況であることだけは確かです。

米国内の政治にも大きな変化が出てきそうです。注意深く見ておいていただければと思います。

Next: シナリオ通りに実現した「米朝再会談」は成功するか?

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