北朝鮮は「中国への牽制」に便利
一方で、米国の対中政策からすれば、中国を抑えておくには、北朝鮮の存在は都合がよいわけです。
核を持っていることを理由に、北朝鮮は中国に対等に話ができます。
また、米国とも話し合いのテーブルにあたかも対等であるかのようについて、交渉します。あくまで表向きの話ですが。
そうすることで、中国へのけん制もできます。これが北朝鮮の非核化が簡単に進み、アジアの抑止力がなくなれば、米国の対中政策は弱体化します。
日本に軍事力を保有していても、やや弱いでしょう。在韓米軍でも少し弱いといえます。
やはり、「ネタ」としても、北朝鮮の存在は、中国を抑えるためには都合がよいわけです。
だからこそ、コーツ米国家情報長官が「北朝鮮の指導層は金正恩体制存続のために核兵器が決定的に重要と見なしている」と強調し、北朝鮮がすべての核兵器を放棄する可能性は低いとの見方を示すわけです。まさに役割分担です。
北朝鮮の「完全な非核化」で合意した昨年6月の米朝首脳会談後、トランプ大統領は「非核化で大きな進展があった」と主張し続けています。
そのうえで、2回目の米朝首脳会談で「完全な非核化」の具体化を目指しているとしています。
米朝会談は成功するのか?
しかし、一方で情報機関からは違う分析結果が出てきます。
コーツ氏は、「北朝鮮は、米国や国際社会から譲歩を得るために、部分的な非核化措置の交渉を目指している」と指摘しました。
こうやって、いろいろ仕掛けながら、外交は進められていくわけです。
メディアは、膠着する非核化の進展を引き出したい米国が、北朝鮮が求める「見返り」提供に慎重な姿勢を軟化させ始めていると書き立てます。
さらに、朝鮮半島の終戦宣言などが検討対象になり、北朝鮮は非核化措置を小出しにすると書きます。
こうなると、むしろいろいろやりやすくなっていきます。まさにシナリオ通りです。