国際社会から無視されるのが怖い北朝鮮、次の一手は?
一方で、北朝鮮側もあまり身勝手なことばかりしていると、その後が怖いこともわかっているはずです。米韓首脳会談の動きを当然知っているわけであり、そろそろ態度を明確にしないといけないと感じていることだけは確かでしょう。
朝鮮中央通信によると、北朝鮮の最高人民会議(国会に相当)は、金委員長を再び国務委員長に推戴したようです。
今後は北朝鮮側にも動きが出てくるでしょう。国際社会にその存在を示し続けないと、存在意義が失われ、闇に葬られかねません。
それを最も怖がっているのが金委員長です。昔であれば、とっくに国際社会から排除されていてもおかしくないでしょう。
現代社会ではそのようなことは、実際に被害が出ない限りないでしょう。しかし、そのリスクは常に存在し続けます。実際に過去に米国によってそうなった人物は少なくありません。
これまで金委員長は中国を後ろ盾に使ってきました。しかし、米中関係をみてもわかるように、中国の疲弊化は著しく、むしろ使いづらい状況になっています。むしろ、距離を置いたほうが得策と考えているでしょう。身の引き方を間違えると、大変なことになります。
一方で、いろいろ周りを固めているのだから、おかしな行動だけは慎んでほしいというのが、米国が主導する国際秩序の一致した意見です。
金正男氏殺害も演出だった?
その一環だったのが、北朝鮮の金正恩委員長の異母兄である金正男氏のマレーシアでの殺害でしょう。しかし、これも替え玉であり、結局は本当の意味で血を流さずにことを進めるための演出だった可能性があります。
なかなか手の込んだことをやるものですが、これはイラク・フセイン大統領のパターンを同じです。
さて、この事件で検察側が殺人罪で起訴されていたベトナム国籍のドアン・ティ・フォン被告の訴因が傷害罪に変更され、裁判所は同被告に3年4カ月の禁錮刑を言い渡し、同被告は死刑を免れました。そして、同被告はすでに2年間勾留されていることから、減刑措置で釈放されるというとんでもない事態になっています。
また、もう1人の実行犯とされたインドネシア人女性は、検察側がすでに起訴を取り下げ、先月釈放されています。
結局、この事件はなんだったのか、ということです。何かしらの圧力が掛けられたことで、釈放されているわけです。
米韓の当局者は、北朝鮮の現体制が金正男氏の殺害を指示したとの見方を示していますが、北朝鮮側は疑惑を否定しています。
しかし、このやり取り事態がまさに演出以外の何物でもないわけです。国際情勢とは、このようなことの繰り返しです。
一方、事件を主導した人物は現在も逃亡中とみられており、2人の女性を殺人罪で起訴したマレーシアには批判の声が上がっているといいます。しかし、これ以上の追及はもはやありません。これでおわりです。